2009.09.03
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透析者の栄養障害

透析は、長期間の体力勝負です。

短時間透析などの〝足りない〟透析を行っていると、リンなどのデータが簡単に悪くなります。
この状態でデータを悪くしないようにするには、食事制限を厳重にする=食事量を減らすと言うことになります。
そうすると、どんどん痩せていくのです。

だから、〝しっかり透析〟を行って、食事はたくさん食べる事が大切なのです。
でも、全ての患者さんが十分な食事が取れる訳ではありません。

糖尿病による消化管の障害などで、消化吸収の障害がある方では、なかなか十分な栄養摂取が難しいです。

この場合は、安易に透析時間を短くしたり、膜を変えたりして透析量を落とすことは勧められません。
透析中に高カロリー輸液+腎不全用アミノ酸製剤を点滴するIDPN(intradialytic parenteral nutrition) と言う方法が良いと言われています。

この方法は、

①蛋白あるいはエネルギーの栄養不良の証拠がある場合、あるいは食事中の蛋白あるいはエネルギー摂取不良の証拠が有る場合

②食事としてのサプリメントやチューブ補給などの経口栄養に耐えられない場合

③経口あるいは経腸栄養とIDPNの組み合わせが個人の栄養の必要性に合致する場合

の3つの基準を満たす時に推奨されています。

一般的には、
50%ブドウ糖 200 mL あるいは70%ブドウ糖 350 mL
+キドミン 200 mL あるいは ネオアミユー 200 mL
を点滴しますので、400-1000kcalくらいのエネルギー摂取とアミノ酸の摂取が出来ます。

経鼻チューブなどを必要とせず、透析中に透析のラインにつないで点滴するだけなので、そのための手間が要らないことがメリットです。

しかし、IDPNだけでは1日の必要エネルギーを満たす事が出来ないこと、経口摂取を増やす動機づけにならないこと、そしてブドウ糖や糖尿病の時に付加するインスリンを請求できないなどの経済的な難点も有ります。

透析者の栄養状態を改善することはとても大切です。
IDPNが保険で認められることを期待します。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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