2008.07.05
診療

縦に書け

先週の日曜日、第19回日本サイコネフロロジー研究会に出席したことは、ブログに書きましたが、日曜日の特別講演は、書家の石川九楊先生の「縦に書け~精神の食べ物・心の安定~」 と言う表題でした。

日本人の歴史を考えると、文字は縦書きに書くべきで、横書き日本人の精神にそぐわないという講演でした。

そんなことは、全くお構いなく、毎日ひたすらパソコンの前に座っている自分にとって、もしかしたらまずいかもと言う思いがあり、帰りに「縦に書け!―横書きが日本人を壊している」と言う本を実際に買って帰りました。

やっと読み終わりましたが、200ページ以上に縦に書いてこそ日本人という石川先生の持論があらゆる角度から書いてありました。
一つの結論に対して、これほどまでいろいろな方面から説得する本は凄いなと言うのが、この本を読んでの感想です。

結論から言えば、講演の方が端的で分かりやすく良かったかと思います。
でも、「人は脳ではなく手である」とか、「紙は天と地を持つ空間」など、なるほどという部分は多く、しっかりと物事を考える力を付けるためには、読んでみる価値はあると思います。

毎日、毎日、同じ人間同士で仕事をしていますので、考えが偏っていかないように、時々、他の空気にも触れていくことが必要ですね。

 

 

2008.07.04
診療

CKD−MBD管理

昨日は福島で、CKD−MBD管理の講演会がありました。
以前は、透析患者さんで起こる骨代謝の病態を腎性骨異栄養症(ROD)と言っていましたが、最近では、血管石灰化が慢性腎臓病患者の生命予後を規定する最も重要な因子であることが分かってきたため、慢性腎不全に伴う骨ミネラル代謝異常症(CKD-MBD)と言う名称に変わっています。

以前より活性型ビタミンD製剤という薬を用いることで、CKD−MBDの治療は行われていましたが、カルシウムの値が上がってしまうため、十分な投与ができない場合がしばしばありました。
最近シナカルセトと言う薬が発売されましたが、直接副甲状腺に作用する薬が発売されて、2次性副甲状腺機能亢進症の治療がしやすくなってきています。

ただ、基本は十分な透析を行うと言うことです。
十分な透析を行えば、リンは低下しますし、血圧も下がってきます。
患者さんは元気になって、使う薬も減ってきて、スタッフの仕事が減るので、クリニックの負担も減ってきます。

結局、最後はそのことに行き着きますが、いい透析を行っていくために、これからも頑張っていきたいです。

 

2008.07.01
診療

祝!初PTA

今日は、クリニックを開院し、初めてPTAを行いました。
PTAと言っても父兄参観ではありません。
PTAは内シャントの静脈が狭くなる、いわゆる狭窄に対する治療で日本語では、経皮的血管形成術と言います。

狭窄部と離れた部分のシャント静脈に針を刺し、カテーテルを挿入して、狭窄部で風船を膨らませ、狭窄を広げる治療です。
心臓カテーテル検査の時に冠動脈が狭い場合行うのと同じです。


引用:ボストン・サイエンティフイック・ジャパン株式会社

以前より熱心に行っていた治療法です。
今まででしたら再手術が必要となる患者さんも、日帰りで切ることなく治療できる方法ですので、クリニックを開院しても続けていきたいと思っていました。
開院して初めての患者さんが問題なく上手くいったのが、とても喜ばしいことです。

透析診療では、十分な血流で透析を行うことはとても大切なことです。
血流が300ml/min以上とれるようにシャント管理をしっかりと行っていきたいと思います。

2008.06.29
診療

サイコネフロロジー研究会

今週末は、とても忙しい週末でした。
土曜日に、福島腎不全研究会があり、日曜日にサイコネフロロジー研究会が山形県天童市であったからです。

腎不全研究会をさぼるわけにいきませんが、サイコネフロロジー研究会も出席をしたい学会だったのです。

当初は、サイコネフロロジー研究会は日曜日に行くつもりだったのですが、始発でも10時半にしか着けない事がわかり、土曜日に腎不全研究会が終わった後に、山形市に前泊して、朝一番で参加しました。

土曜日は一般演題が中心で、日曜日は講演と言う研究会でした。
日頃聞くことがない、精神科の先生の透析患者さんへのアプローチを聞くことが出来て、とても参考になりました。

朝のモーニングレクチャーでは、大会長の政金先生が、サイコネフロロジーでも、患者さんが辛くなく、訴えがない透析を行うことが前提であるという内容で話されました。
政金先生の講演は、何度聞いても間合いが良くって、話が面白いです。

援腎会すずきクリニックの目指す透析は、無愁訴透析であり、元気で長生き出来る透析です。
現在、理想の透析が行えるよう試行錯誤中です。

2008.06.28
一般

前立腺癌のホルモン療法の副作用対策

日本泌尿器科学会プレスセミナー レポートと言うのが、メールで送られてきました。

金沢大学の並木教授より、「前立腺癌の治療選択~ホルモン療法の役割と副作用対策~」が紹介され、その講演の一部で、「ホルモン療法による男性ホルモン低下が招く加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)の対策は必要であるとし、ホルモン療法の今後の課題や新たな薬剤であるSARMへの期待を述べた。」とありました。

前立腺癌の治療は、放射線療法、手術療法、ホルモン療法があって、病気の進行度によって決められます。
その中でもホルモン療法は、男性ホルモンの影響を受けやすい前立腺癌では基本となる治療法と言えます。

最近では、ホルモン療法を長期に行うことによる骨塩量の低下が問題であるとの文献も出てきているようです。
その中では、ホルモン療法中は定期的な骨密度測定が必要であると書いてあります。

LOH症候群や骨粗鬆症の治療も、特に手術が必要なわけでもなく、入院が必要でもありません。
外来診療で十分行えますので、僕たちも対策を熱心に取り組んでいく必要があると感じました。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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