2008.05.02
開業 / 病院経営

ご挨拶

昨日は、診療時間のご案内と、場所について記事にしました。
今日からは、診療についてのお話をしていきたいと思います。

まずは、院長からのご挨拶です。
このたび、郡山市冨久山町に援腎会すずきクリニックを開院いたしました。
当クリニックは、人工透析と泌尿器科を専門とするクリニックです。

人工透析の診療では、常に透析患者さんが、『元気で長生きが出来る』、『透析中は楽に過ごすことが出来る』ことを目指し、最先端の透析設備と透析専門医として出来る限りの診療をいたします。

泌尿器科診療では、『痛みの少ない治療』と『出来るだけ分かりやすい説明』を心がけた診療を行います。

透析治療も泌尿器科診療も、病院との連携を重視していますので、入院治療が必要な患者さんは、すみやかにご希望の病院へご紹介いたします。

その上で、混雑した病院では出来ない患者さんの希望に添った診療が、援腎会すずきクリニックで提供できると考えております。

明日からは、当院の診療の中心である、透析診療について記事にいたします。

追伸
先月のアクセス数が11828アクセスと、一ヶ月のアクセス数で10000アクセスを越えました。
これからも、どんどん盛り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

2008.05.01
診療

血液ろ過透析(HDF)について2

昨日は、HDFがいかに優れているか説明しましたが、HDFが主流の方法とならない理由はなぜなんでしょうか。

HDFには高価な専用の透析機械が必要であり、通常の透析液の他に置換液も必要となるため、コストが割高になります。
そのため、透析をはじめてからの期間が長い患者さんで、手根管症候群、異所性石灰化による関節痛があってアミロイドーシスなどの問題を抱えている方や透析困難症で透析中に血圧が下がってしまう方を対象に、HDFを行っています。

このように、HDFは多くの点でHDに比べ利点が多く、非常に有用な治療法だと言われていますが、現状では、コストがかかる治療であり、長期間透析をやったために合併症がたくさん生じてきた患者さんなどの限られた方しか対象としていません。

これだけ有用だと言われている治療法を、安価にできるだけたくさんの患者さんに提供できないかと言う観点から考えられた方法がオンラインHDFです。

オンラインHDFは、通常のHDFで使用するサブラットと言う注射液を使用せず、透析に使用する液を直接点滴(補充液)として使用する方法です。

この方法だと、補充液が大量に置換できるメリットがあります。通常のHDFでは置換液はせいぜい多くても10リットルまでですが、オンラインHDFでは50リットル以上まで可能です。
つまり、通常の方法に比べ、効率も高いと言えます。

オンラインHDFを行うためには、厳重な透析液の水質管理ができる事が前提になります。
源水はエンドトキシンという物質で汚染されています。しかし、オンラインHDFを行うためには、細菌やエンドトキシンを測定感度以下になるまで徹底的に清浄化させなくてはなりません。

援腎会すずきクリニックでは、東レ社製の最新の洗浄消毒方法を取り入れた「トータルクリーン化システム」を導入し、徹底的に水質管理を行うことで、高度の水質管理が可能になりました。

オンラインHDFは、現時点で保険では認められておらず、そのコストは医療機関にとって大きな負担となります。
しかし、オンラインHDFが通常のHDに比べ優れていることがわかっているため、最近では行う施設がどんどん増えてきています。

患者さんにオンラインHDFを提供することで、『透析はつらい』、『透析はなるべくやりたくない』と言う考え方から、『辛くない透析をやって、元気で長生きする』と言う考えに変えていきたいと考えています。

2008.05.01
診療

透析患者さんが長生きできるために

引き続き、透析療法のお話ですが、今日は、『透析患者さんが合併症なく長生きできる』方法について、解説します。

一般には、腎不全が進行し、腎臓の機能が通常の腎機能の30%以下になると、食事制限や、薬によるコントロールが必要になります。
そして、制限や治療は、「腎臓の働きを補う治療」であるはずの透析を導入しても続きます。なぜでしょうか。

透析で除去できるのは、尿素の様に小さく抜けやすい毒素についてでも、通常の腎機能の10数%くらいです。
しかも、分子量の大きな尿毒素は抜けにくいことと、腎臓と違って連続して治療できないと言う欠点も有ります。
また、腎臓から出るホルモンについては、透析では全く補えません。
すなわち、現在の「一回4時間×週三回、血流量200 ml/分」の平均的な透析治療は、腎臓を補うためには十分でないのです。

以前は長期透析の合併症はよく分かっていませんでしたが、30年以上透析を続けた患者さんがたくさんいる現在では、通常の透析だけでは抜けきれずに生じる合併症がいろいろと分かってきました。

つまり、導入してから早期のうちに、10年、20年後の合併症が起こらないように十分な透析を行っていく事が大切なのです。

では、どの様な透析療法を選択すべきなのでしょうか00

現在の血液透析の欠点は、一回4〜5時間という比較的短い時間に体液の量・性状が急に変化することです。これを少しでも生体腎に近づけようとするならば、「頻度を高くすること」が最も大事です。

しかし、現在の保健医療では月に15回以上の透析は認可されていません。
そこで、患者さんの予後をよくして合併症を少なくするためには、「一回の透析時間を長くする」ことや、「血流を上げて透析量を増やす」ことが必要です。もちろん両方行うのが一番優れています。

比較的身体の大きい男性では、5時間の透析を行った方が良いでしょう。また、大きな分子量の物質を抜くためには、血液濾過透析を選択する方がいいと思われます。

通常のHD療法で血流を上げると『つらい透析』となることがしばしばです。それで、大量補液を行う前希釈オンラインHDFを行うと、血流を上げても透析中の辛さが軽減されて透析量を増やすことが容易となります。

以上、長期間の透析で生じる合併症を出来るだけ少なくするためにはどうすればいいか記事にしました。

最後に、オンラインHDFは時間を短くするためのものでは有りませんので、オンラインHDFを行うから時間を短くしてもいいという考え方は誤っています事を付け加えておきます。
時間は長い方がよく、なおかつ効率の良い透析が必要です。

2008.05.01
診療

血液ろ過透析(HDF)について1

今日からちょっと血液ろ過透析(HDF)透析についてお話いたします。

ちょっと話が難しいです。
本当は図とか有るともう少しいいのですが、ごめんなさい。

血液と透析液の間にある半透膜を介して、その濃度差で物質の移動がおこり、尿毒素が血液から透析液に移動して血液がきれいになるのが透析です。ただ、その場合には半透膜の孔を通りやすい小さな物質しか除去できません。

透析が始まった頃は、小さな物質だけを抜くだけでも効果があったのですが、長期間透析ができるようになると、もっと大きな物質を抜かないと、身体に不具合が出てくることがわかってきました。
その大きな物質の代表が透析アミロイド症の原因物質であるβ2マイクログロブリンです。

 大きな物質を抜く方法で最も簡単なのは、孔を大きくすることですが、重要なタンパクまで抜いてしまいます。そのため考えついたのが、血液と透析液の間で水を大量に移動させることで、水と一緒に移動する性質の大きな物質を移動させて除去する方法です。これを血液ろ過と言います。

血液がダイアライザーに入る前に点滴を多量に入れてその分の水分を引っ張る方法(前希釈)と、引っ張った後に点滴を入れる方法(後希釈)があります。
現在では、ろ過と透析を併用した血液ろ過透析が主流です。
具体的には、透析で2kg増えてきた方の場合は、2kg分の水分を取り去らなければいけないので、ダイアライザーを通してポンプで2Kg分水を引っ張って取り去りますが、HDFを行うときは、この除水に加え点滴をたとえば8L行います。そうすると、ダイアライザーを通しては、2L+8Lの合計10L水を取り去ることになり、それに伴い、大きな物質が除去できることになります。

それでは、HDFにはどのくらいの効果があるのでしょうか。

1.普通の透析で取りきれない老廃物の除去

β2マイクログロブリンを除去し透析アミロイドーシスを改善させる他にも、手根管症候群、心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着、破壊性脊椎炎などの合併症を予防し、全身の痒み、下肢のいらいら感などの不愉快な症状、不眠、色素沈着を改善すると言われています。

2.透析中および普段の血圧の安定

HDFは透析中に血圧が低下する透析困難症に有効だと言われています。そして、普段の血圧も落ち着いてきて降圧剤を減らせる場合があります。

3.貧血の改善

造血阻害因子の除去により貧血が改善すると言われています。

4.食欲の改善

不必要な老廃物が除去されることで、調子が良くなり多くの方が食欲が出てくるといわれます。

このように、HDFは非常に優れた治療法だと言えます。

明日も引き続きHDFについてお話しします。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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