糖尿病療養指導士認定試験
以前、福島県糖尿病療養指導士講習会に参加してきたことをここに書きました。
講習後、知り合いの講師の先生方から、『必ず10月の福島県糖尿病療養指導士認験試験を受けるように』と声をかけられてしまいました。
その後、試験に受かるために必死で勉強して受験しましたので、本日なんとか合格通知がやって来ました。
講習会も為になりましたが、その後の試験勉強で、学んだ知識が整理でき、しっかり身につけることが出来ましたので、試験を受けて良かったと思いました。
何とか面目を保つことが出来ました。
今回勉強したことについては、今後の診療に役立てて行きたいと考えております。
透析液清浄化が認められるようです。
1月15日に中央社会保険医療協議会から、「平成22年度診療報酬改定の基本方針」に沿って、「現時点の骨子」が取りまとめたと聞いています。
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/dl/p100115-1a.pdf
その中で、
Ⅱ-4 患者一人一人の心身の特性や生活の質に配慮した医療の実現に対す る評価について
(1)人工腎臓における合併症防止の観点から、使用する透析液についての安全性を向上させるためのより厳しい水質基準への取組を評価することを検討する。(Ⅱ-3-④ 再掲)
とあります。
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当院では、オンラインHDFを行っていますのでもちろんですが、通常の透析でも透析液を清浄化することで、患者さんの予後が改善されることが知られています。
現在の透析では、水中に溶解したイオンや不純物を除去するRO装置を使用して、高純度の水を作成できるようになっています。
その上で、エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)と言うフィルターを使用して、さらに透析液から細菌やエンドトキシンを除去しています。
透析学会が発表しているエンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)装着状況ですが、83.6%の施設で使用しており、63.4%のコンソールで用いられています。
当院では、透析装置の手前でカットフィルターを2本つなげて細菌やエンドトキシンを全く無い状態にしています。
本来は、どちらも100%で有るべきなのですが、実際にはコストがかかると言う理由で全ての施設で使われる要になっていません。
診療報酬で評価されることで100%に近くなってくれる事を期待しています。
そして、いくら清浄化の努力を行っても、実際にきれいになったか確認しなければ意味がありません。
透析液の水質を評価するためには細菌数やエンドトキシン濃度を測定する事が行われています。
透析液エンドトキシン検査の現状です。
日本透析医学会の水質管理基 準が推奨する月1回以上の測定は依然として33.2%の施設で行われているのみです。
透析液中の細菌検査の現状です。
日本透析医学会の水質管理基準の推奨する月1回 以上の検査は、20.8%で行われているのみです。
エンドトキシンの測定よりもさらに少ないです。
これまでも、透析液清浄化に積極的に取り組んでいる施設では、厳しい水質基準をクリアする為に努力してきています。
当院では、先ほどのカットフィルターの前でエンドトキシンと細菌が感度以下になるように透析液を清浄化することを目指していますので、カットフィルターの前後でチェックを行っています。
良い透析を提供するために行っていることが評価されたということは大変喜ばしいことです。
透析を行っている全ての施設が、きちんとした検査を行い、厳しい透析液清浄化の基準をクリアできるようになることを望んでいます。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討5
考察です。
透析者の治療困難な合併症の一つに筋肉量の減少、るい痩があります。
治療を続けていくことで痩せて言ってしまう患者さんをこれまでにもたくさん見てきました。
最近、HDFを行うと、レプチンの除去が増加し、食欲が増し、ドライウエイトが増加することが報告されてきています。
今回知りたかったし、注目していたのは、大量置換オンラインHDFでは、アルブミンが大量に除去されてしまうためアルブミンが低下してしまうと言われているのは本当かと言うことでしたが、実際にはアルブミンの低下は認めませんでした。
アルブミンと結合している毒素もたくさんあるので、有る程度のアルブミンも除去した方が良いと言うことも、最近耳にします。
ですので、アルブミン値が下がらなく、しかも生体と同じようにある程度のアルブミン除去が出来ていることは大量置換オンラインHDFが優れている治療法だと言えます。
ところで、今月、当院でもとうとうIn-bodyを購入いたしました。
In-bodyを使用することで、高透析量・大量置換オンラインHDFによるの筋肉量の変化も検討できるようになりました。
今後調査して報告したいと考えています。
そして、とても大切なことです。
今回は検討しませんでしたが、高齢者では、栄養摂取不良から低栄養となる可能性があります。
高透析量・大量置換オンラインHDFを高齢者に行うと栄養状態が悪くなってしまう可能性があります。
でも、高齢者でも良くなっている方もいますので、一概には言えませんが、栄養状態を注意深く見守る必要が有ります。
そのため、状態に合わせた透析を行うことや、積極的な栄養介入を行っていく必要が有ると考えています。
以前より、血流を上げることで高透析量の透析を行うと栄養状態が悪くなるので好ましくないと言う考え方が有ります。
しかし、オンラインHDFを併用していると言う事もありますが、高透析量の透析を行ってもアルブミンは下がらず、全体としては体重が増加し、GNRIも上がっていて栄養状態は良くなっているとの結論となりました。
僕の考えですが、
透析をやり過ぎるのは良くないと言う考え方は間違いです。
透析をどんどんやれば多くの方がとても調子が良くなります。
ただ、一部の食事摂取量が少ない方では痩せてしまう場合がありますので、注意深く栄養不良が起こっていないかを確認することも大切です。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討4
この様に高透析量・大量置換オンラインHDFを行ったことで、栄養状態はどの様に変化したかです。
栄養状態としてAlb、ドライウェイト、GNRIを調査しました。
Albは
上昇もせず、低下もしませんでした。
個々のデータでは、多くの方が、高い人は高いままに、低い人は低いままに変化しない傾向でした。
一部の方では2.8→4.2と上昇した方もいましたが、逆に下がってしまった方もいらっしゃいました。
ドライウェイトですが、
ドライウェイトは、8ヵ月目から有意差が付き、9ヵ月目以降でさらに上昇しています。
これは、当院に転院した時点では、水分貯留傾向があり、数ヶ月後に溢水が改善され、その後ドライウエイトがきつくなって上げる様になっていくからだと思います。
GNRIは、
アルブミンは横ばいですが、体重が上場したため、9・10ヵ月目くらいからは上昇している傾向が有りますのが、有意差は付きませんでした。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討3
結果です。
透析量としてKT/Vは
オンラインHDFを開始した時点から血流は徐々に上げていきます。
おおよそ4・5ヵ月かけて200ml/min以下の状態から300ml/minくらいまで上げていきますので、KT/Vも1ヵ月目から5ヵ月目まで上昇していって、その後は横ばいになっているのかもしれません。
オンラインHDFにすると、当院で使用している東レ社の装置では、補液量を上げるとその分透析液流量が減ってしまい、尿素窒素やCrなどの小分子の除去率が下がるのではないかと考えていたのですが、血流を上げていることもあって、どんどん上がってくれました。
これまでにも何回も書いていますが、この様に透析効率を上げることで、多くの患者さんが体調がよくなり、食欲も増し、元気になってくれると考えております。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。