透析者の虚血性心疾患2
透析者に発症する心筋梗塞の症状で一番多いのは胸痛で44%ですが、実は心不全も42%もあるそうです。
しかも、心電図所見は半数が有意な所見無しなんだそうです。
そこら辺は、泌尿器科医ではなかなか知り得ないところかもしれません。
ある患者さんが、中2日の月曜日の朝方呼吸が苦しいとやって来ます。
肺は真っ白で心臓も大きく、心電図所見でも異常なしです。
もちろん、溢水による心不全として治療を行うことになります。
患者さんには、管理が悪いからこうなるのだと言って透析を回し除水をします。
そうして起こった心筋梗塞は見逃されてしまうのかもしれません。
実は、先日も透析後帰宅した患者さんから血圧が下がってとても具合が悪くなったと連絡がありました。
連絡が来たのが遅い時間であり、紹介されたばかりの方だったので、紹介してくれた病院を受診する様にお話ししました。
ただ、その時は体調が改善したようで病院は受診しません泥sた。
次の透析日に胸部レントゲンを撮影しましたところ、心臓が大きくなっていました。すぐに当院臨床検査技師に依頼し心臓超音波検査を行ったところ心臓の壁に動きが悪い部分があることが分かりました。
その後、病院の循環器科に紹介したところ、緊急で心臓カテーテル検査を行うことになりました。
たまたま、今回の講演を聞いた直後でしたので、注意していたところ起こったことですが、もしかしたらよく起こっていることなのかもしれません。
そう考えると恐ろしいです。
透析者の虚血性心疾患1
最近、日常生活の話題が多いこのブログです。 たまには透析のことを書きます。
先日、東邦大学医療センター大橋病院長谷弘記先生の「透析患者における心血管機能評価と予後」という講演を聞いてとても勉強になったことを書きました。
それで、いくつか調べましたのでまとめてみました。
透析学会の調査によると、昨年の死亡原因は心不全(24.0%)、感染症(20.0%)、不明(10.2%)、その他(9.9%)、悪性腫瘍(9.2%)、脳血管障害(8.6%)の順です。
心筋梗塞は4.2%で死因の9番目です。
日本人全体でみた死因は、第1位は悪性腫瘍、2位は心臓病、3位は脳卒中ですので、透析者では非常に心不全が多いことが分かります。
しかも、長谷先生の話では、心不全の原因のほとんどが虚血性心不全ないしは心筋症ではないかと言うのです。
米国では、虚血性心疾患による死亡率がとても高く41%もあるそうです。しかも心筋梗塞が9%であり、心不全は含まれていません。
つまり、日本では心不全と考えられているものが、米国では虚血性心疾患と判断されていると考えられます。
他にも、透析者の死因の約2割が心臓突然死で、その半数以上が目撃されずに死に至っていたという報告も最近ありました。
突然死の中にも虚血性心疾患が多く混ざっている可能性が指摘されています。
そして、透析者が虚血性心疾患(心筋梗塞+狭心症)を合併している割合は非常に高く、62.5%もあるそうです。 この中で無症状の方が30.2%もいらっしゃると言うことです。
次回に続きます。
第37回日本血液浄化技術学会
土曜日は季節外れの大雪で大変でした。
朝、目がさめて外を見たときに、信じられない状況にビックリしました。
送迎バスもすでにタイヤ交換を行っていて、安全が確保できないことから、送迎バスの運行も中止させていただきました。
送迎バスをご利用の患者様には、ご迷惑をかけました。
皆様、今回の状況をご理解していただきありがとうございました。
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昨日は、代診の先生に外来をお願いして、山形市で行われた第37回日本血液浄化技術学会に参加してきました。
血液浄化技術学会は臨床工学士が中心の学会です。
透析液清浄化、透析膜、水質管理などを中心に沢山の発表が行われました。
僕は、教育講演、ワークショップ、シンポジウムを中心に勉強させていただきました。
本当は、仙台社会保険病院の鈴木一之先生の「日本の血液透析条件・透析量を再考する」を聞きたかったのですが、どうしても間に合わず聞けなくて残念でした。
今回聞けて良かった講演は、東邦大学医療センター大橋病院長谷弘記先生の「透析患者における心血管機能評価と予後」でした。
透析者の36%が心臓病で亡くなり、心不全で25%の方がなくなっている。
透析導入時には多くの患者さんで何らかの心疾患を持っている。
透析者の心筋梗塞では、42%が心不全の症状で発症し、しかも心電図異常が有るのは心筋梗塞の半数しかない。
つまり、心筋梗塞なのに症状が心不全で心電図に異常がない場合が多く、ただの心不全として加療されてしまうケースが多い 。
など、とても分かりやすくポイントを教えてくださって、この講演が聞けて本当に良かったと感じました。
最後に透析者の冠動脈インターベンション後に行う造影剤除去目的の透析はやった方がいいかという質問が、座長の先生からありました。
最近の考え方では、やってはいけないことになっている様です。
我々の世界では良くあることですが、また、今まで常識と思われていたことが、ひっくりかえりそうです。
- 2010.04.16
- 診療
郡山は、3分咲きくらいです。
本日2回目の投稿
4月から、長男を小学校に連れて行った後、クリニックまで歩いてきています。
途中、逢瀬川沿いの土手も少し歩きます。
まだ、3分咲きくらいです。
ズームアップすると、
こんな感じです。
週末まで寒いようですので、満開になるのは週明けかもしれません。
桜が満開の逢瀬川はとてもすばらしいです。
来週も写真をアップしますね。
月曜日午後の泌尿器科外来診療変更のお知らせ
6月から月曜日午後の診療体制が変わります。
15時から18時までの外来診療を、手術及び検査を優先とする時間に変更します。
来院された患者さまの診療は引き続き行いますが、手術及び検査を行っている間はお待ちいただく様になります。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力の程よろしくお願いいたします
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当院では、透析を行うために必要なシャント血管が狭くなった場合には、シャントPTA(経皮的血管拡張術)を積極的に行っております。
午前、午後の診療の合間に行っていますが、しばしば午後の診療時間まで延長し、外来の患者さまにご迷惑をかけることが有ります。
6月から月曜日午後は、シャントPTAや泌尿器科外来検査、そして透析カンファランスを行う時間とさせていただきました。
今後は、月曜日午後の診療を希望される場合は、これらの手術、検査の合間に診察を行いますので、待ち時間が出来てしまいます。
ご了承ください。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。