- 2011.08.01
- 仕事 / 職場
大きな余震が有りました。
7月31日の深夜3時58分に福島県沖が震源のマグニチュード6.4の余震が有りました。
郡山市は震度5弱だったそうです。
前日はクリニックの暑気払いだったので、酔っぱらって寝ていましたが、さすがに強い揺れで目を覚ましました。
久しぶりの大きな揺れに驚きましたが、翌朝日曜日ですがクリニックに行ってきました。
2階透析室では、戸棚の物品の一部が落ちていましたが、大きな被害はありませんでした。
建物自体は姉歯問題で建築基準法が改正された後に作られた建物ですから、しっかりしています。
クリニックの外に出てみたところ、浄化槽脇のアスファルトがゆがんでいました。
ここは、本震の時はたいしたことが無かったのですが、4月11日の余震でダメージを受けた場所で、今回の余震でさらにダメージを受けていました。
余震の影響はまだあり、自宅近くのアスファルトの亀裂がさらに悪化していました。
亀裂が広がり、子供の靴が入るくらいになっています。
今回の地震では、県中地区の被害が大きいです。
本震では、福島市も郡山市も共に震度6弱なのですが、全壊した家屋は福島市が161戸に対し、郡山市が1879戸なんです。
人口はそれほど変わらないのですが、被害は10倍くらい違っています。
やはり、郡山湖の影響なのかもしれません。
福島第一原発事故後の放射能でによる精神的ダメージが大きい中で、大きな余震が起こるとさらにダメージが大きくなります。
もう勘弁してほしいですね。
透析用水の水質検査
今回の震災直後の水道が再開通した時点では、かなり汚れた水が流れてきて、プレフィルターが真っ黒になりました。
震災後、少し落ち着いたので、貯水槽の清掃を行いました。
報告書には水槽が綺麗になった写真も写っていました。
清掃と共に透析用水の検査を行いました。
以下に結果を示します。
一般細菌、大腸菌や塩化物イオンも異常なしで、TOCも基準以下となっていました。
今回は、透析液清浄化ガイドラインに載っていたカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、銀などの項目も測定しました。
透析液清浄化ガイドライン Ver. 1.06を参考に測定しましたが、 特殊検査のようで、数万円の追加費用がかかりビックリました。
http://www.jacet.or.jp/cms/10topics/guideline_Ver106.pdf
きちんとした透析を行っていくには必要な検査ですので、定期的に続けていきたいと思います。
震災前後での患者状態比較3
患者さんからの声です。
時間が短くなり透析後が辛くなったと訴える方は多かったです。
血圧が高くなり、早く透析時間を元に戻して欲しいと訴える方もいました。
水道からは濁った水しか流れてこなかったのでオンラインHDFは中止しました。
このことと時間短縮から、全身のかゆみが出現したと訴える方もいらっしゃいました。
透析中に地震がおきるのではないかという心配は、我々にもありました。
透析時間の短縮は、材料の不足だけでなく、なるべくリスクを少なくする為という考えもありました。
あの当時は、電源が何時ダメになるか分かりませんでした。
そのため、透析がいつまで続けられるかとても不安でした。
内服薬についても薬がなくなってしまう不安が有りました。
原発が水素爆発した次の日に門前薬局が突然閉めてしまい、連絡が取れなくなったこともありました。
あれ以降の数日間は精神的に特に辛かったです。
患者さんと家族の両方を守る事は出来ないと考え、家族には一時的に避難してもらいました。
1週間後には戻ってきましたけどね。
考察です。
震災直後から透析患者に血圧上昇の傾向が見られましたが、通常透析を再開したところ、徐々に安定してきました。
震災後は、患者さん達が体重が増えないように頑張ったのだと思います。
今後も不測の事態に備えていく必要があります。
震災前後での患者状態比較2
震災以前の平均体重増加量は2.1kgでしたが、震災直後の2週間は1.8kgまで低下しています。
これから透析が受けられるか分からないという危機感が患者さん達にも有って体重増加が少なかったと思います。
透析前血圧ですが、震災直後は皆さんとても高く、3時間透析の期間、4時間透析の期間、通常になるにつれて透析前血圧は下がっています。
しかし、最大余震直後は再び血圧の上昇が見られます。
体重増加も透析前血圧も有意な変化があったというのが結論です。
食品の安全性について
現在、郡山では空間の放射線量は高いですが、比較的落ち着いてきていると思います。
ただ、土の上は数値が高いので、子供がどろんこになっても大丈夫な環境整備はして欲しいです。
それと共に重要なのが、内部被曝であり、いつも食べる食品です。
日本では緊急時の指標として飲料水が200Bq/kg以下、食物が500Bq/kgの規制となっています。
実は、海外の規制値と比べても決して高く無いのです。
以前から有った指標としては、輸入食品中の放射能濃度の暫定限度を134Csおよび137Csの濃度として370Bq/kg以下と言う数値があります。
ただ、安心して我々が作物を食べる為には、規制値ぎりぎりだと不安ですよね。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-01-04-07
この暫定基準値については、玄葉光一郎国家戦略相が3月末に農産物の出荷停止や摂取制限の目安となる食品衛生法の放射性物質の暫定規制値について「国際比較でも厳しすぎる。このままだと何も食べられなくなってしまう」と述べ話題になりました。
http://www.asahi.com/politics/update/0329/TKY201103290222.html
でも、この発言は逆効果でしかなかったです。
消費者から見れば危ない食品を売ることが出来る様に政府が介入してきていると感じてしまうからです。
某大学教授は、絶対に福島の野菜は食べてはいけないと言っています。
それでは、今の実際の数値はどのくらいなのでしょうか。
福島県のホームページに原子力発電所事故による農産物被害等関連情報と言うページがあり、農林水産物に係る緊急時モニタリング検査結果についてと言う項目があります。
ここには、震災後に緊急モニタリングした福島県産の野菜の放射線量が記載されています。
3月28日のデータを見ると、ヨウ素でもセシウムでもかなり多くの野菜が規制値を超えています。
これでは福島の野菜はなにも食べられないですね。
でも、5月12日になるとほとんどの項目で感度以下NDとなっているのが分かります。
NDについてですが、数値が出ているもので最小は7.7ですから、測定感度以下は少なくともそれよりは小さい数値なんだと分かります。
それで、一番直近のデータである6月29日のデータでは、ほとんどの野菜がNDとなっていました。
実は、安心なのかもしれません。
でも、これは6月17日のデータですが、タケノコや椎茸はまだ高い数値が出ている様です。
放射性物質を吸収しやすい食品があり、これらはまだ注意が必要な様です。
現在はほとんどの福島県産野菜が感度以下です。
それならば、規制値を感度以下としたらどうでしょう。
そうすれば今よりももっと野菜が売れるはずですよ。
安全であることを訴えたいならば規制値以下だと発表するだけでなく、きちんと今の数値がいくつくらいであるか示さないと県民は安心して県内産の野菜を買うことは出来ません。
そして、比較的大丈夫なものとそうでないものを区別して下さい。
以下に、似たような事を書いたサイトを見つけました。
ご覧下さい。
http://www.foocom.net/column/editor/4420/
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。