透析クリニックが被災して 15
先ずは電気の話です。
震災直後は、コンソールが全て停止してしまいました。
機械室の供給装置やRO装置については、余裕がなかったので動くか確認出来ませんでした。
ただ、震災当日は一時的な停電が起こりましたが、すぐに停電は解消されたため電源の問題は無いと考えていました。
震災翌日になり、透析装置の電源を入れたところ入らないことが判明しました。
何で透析装置の電源が入らないか分からなかったのですが、業者の方が来て、通常使用する100Vの電源は大丈夫だが、機械室で必要な200Vの変電器が損傷している事が判明しました。
その後、電気会社の方がクレーン車で屋上にある変電器を仮設置して電源の問題は解消されました。
屋上の変電器ですが、左側が200Vで右側が100Vです。
200Vが斜めになっているのが分かるかと思います。
実は、震災直後にいつもの電気屋さんと連絡がつかず、別の電気屋さんが来てくれたのですが、これは人の手で動かすのは無理だと言われ落胆していました。
たまたまいた水道屋さんが『やってみなければわからねえべ』と言って、スタッフも含めみんなでこの数百kgもある変電器を持ち上げて何とか配線と変電器を接続しました。
やれば出来ると言う事を知りました。
その後、出入りの電気屋さんと夕方に連絡が取れ、クレーン車で持ち上げて位置の調節を行い、新品の変電器と交換するまで不安定な状態ながら頑張ってもらいました。
強い余震が有れば再度変電器が動き、配線の断裂が生じる可能性がありました。
何時透析が出来なくなるか分からないから、何度も行政にを運んで、新しい変電器を何とか手に入れられないか相談に行きました。
災害時には非常用発電機があると助かりますが、非常用発電機を設置するためには1500〜2000万もの費用がかかります。
また、燃料がないと動かないものなので、そのために常に準備をしておくのはなかなか難しいかと思います。
今回は、他施設の患者さんの透析も行っていましたので、行政が非常用発電機のレンタルをしてくれて当院に設置してくれましたが、使うことは有りませんでした。
透析クリニックが被災して 14
これまで震災直後の話をしてきましたが、これからは震災後に透析を再開するに当たり何が困ったか、インフラの話を書きたいとおもいます。
まず、電気、ガス、水道ですが、ガスがなくてもどうにか寒さを耐えることは出来ます。
透析を行う為に必要なのは電気と水道です。
それから、医療材料や透析用薬剤のストックがなくなってきたときどうだったか。
患者さんもスタッフも、交通手段が無ければ来院して透析を受けることが出来ません。
そして、他施設との連絡も重要です。
少しずつ書いて行きます。
人工透析患者も食べられる「低カリウムメロン」
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これは朗報ですね。
「長時間透析・ 限定自由食」で有名なかもめクリニックでも、長時間透析をすることで、カリウムの高い食事を除いて家族とほぼ同じ食事を取ることが出来ると言っています。
カリウムの摂取量が少なくなって美味しさが変わらないというのでしたら、是非なんとか栽培方法を確立させて欲しいです。
透析クリニックが被災して 13
震災直後の透析室内の様子です。
当日は午後でしたので、透析室の半分を使用して透析を行っていました。
左側の写真が透析が終わったベット、右側が透析中の方達がいらっしゃったベットの写真です。
左の写真は、人がいなかったことも有り、大きくベットが動いてしまっていますが、患者監視装置(コンソール)のキャスターはフリーになっていましたので、倒れるようなことはありませんでした。
地震の時、キャスターを固定しておくと倒れやすいですが、ロックがないと揺れに合わせて動き転倒しなくなります。
透析ベットは、キャスターはロックしておきます。
透析ベットを床にしっかり固定してしまうと、患者さんがひどく揺さぶられ転倒する可能性が高くなります。
キャスターのロックをしている程度ですと、地震の時にベットがゴロゴロ動いて揺れを吸収し、患者さんはそれほど動かないそうです。
もう一つ、これはポイントです。
これまで当院では、コンソールの点滴を掛ける部分に鉗子を吊しておいていました。
今回の震災で、生食と一緒に吊してあった鉗子のほとんどが揺れによって飛び散ってしまい、緊急回収は飛び散った鉗子を拾い集めることから始まりました。
揺れを経験して初めて分かったことです。
震災後は、対策としてコンソール脇にマグネットフックを設置して、取りやすいが強い揺れがあっても散らばることはないように対策を取りました。
透析クリニックが被災して 12
RO装置はゲルセーフで固定してありましたが、最初の地震で45cm移動してしまい、漏水検知ラインもちぎれてしまいました。
配管はフレキシブルな配管を使用していましたので、特に問題無かったのですが、4月11日の大きな余震でさらに動き、配管に余裕がなくなってしまったため、急遽補修工事をしてもらいました。
メーカーに聞いたところ、他施設でもゲルセーフを使用していた施設では、RO装置の脚がちぎれてしまった施設がいくつかあったそうです。
補給工事として、RO装置は床に直接固定させました。
A・B溶解装置もゲルセーフを使用して動いてしまいましたので、RO装置と同様に直接固定しました。
セントラル供給装置は免震台の上に置いてありましたが、これほど背丈が高い装置ですが、免震装置のおかげで全く被害がなかったです。
こちらはお勧めです。
ちなみに、RO装置を乗せる免震台もあるそうです。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。