2011.08.30
診療
研究

「福島県民健康管理調査」について

東京電力福島第一原発事故による放射線の健康影響について調査するため、「県民健康管理調査」が行われます。
今回、その説明会が開催されましたので、その内容についてご紹介いたします。

「県民健康管理調査」には、基本調査と詳細調査があります。

基本調査では、平成23年3月11日時点での県内居住者を対象に、自記式質問票を用いて、3月11日以降の行動記録を調査することで被曝量の推定量を評価するものです。

詳細調査は、甲状腺検査、健康診査、こころの健康度に関する調査、妊産婦に関する調査があります。

甲状腺検査は、全県の18歳以下36万人を対象としています。
今年度は避難地域の方28000人に対し甲状腺の超音波検査を行うと言う事です。

その後の2年間で残りの30万人以上の検査を行う予定です。

放射線の影響による甲状腺癌の発生は、被爆4ー5年後に発生しますので、今回行う甲状腺検査は現時点で甲状腺に異常がないか確認する事で、放射線の影響が出ているかを調べるのは4ー5年後になる様です。

今年度の健康診査は、避難区域等の住民及び基本調査の結果必要と認められた方を対象として、特定健診や健康診断医上乗せして血算、尿潜血、血清クレアチニンなどの採血を追加して行います。

こころの健康度に関する調査は、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、県民は精神的な苦痛を受けていますので、県民のこころの健康度を把握し、適切なケアを提供するため行われます。

妊産婦に関する調査は、妊産婦さんの放射線への不安を調査することで妊産婦の方々の不安を把握し、解消に努める事を目的に行います。
震災後県外に避難された方も対象とするとのことです。
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今回の県民健康管理調査についてはいろいろなご意見がある様です。
ただ、そのような内容か分からずに意見を言う事は出来ません。
そのため、どのようなものかと言う事を書かせて頂きました。

説明会でこの健康調査を行う理由は、震災直後の状況がうやむやになる事が不安の原因の一つにとなるのではないかと言う話でした。

 

2011.08.29
診療
研究

透析患者さんの睡眠時無呼吸症候群

透析患者さんでは、透析間で増加する水分貯留が上気道に浮腫として影響する事により、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)を起こしやすいことが知られています。

SASがあるかは、写真のようなパルスオキシメーターの装置を装着することで、簡単に調べる事が出来ます。

これは、パルスオキシメーターによって記録された患者さんの酸素濃度です。
無呼吸があると酸素濃度が下がり、呼吸すると上がるという酸素濃度が上下に振れる特徴的な所見が見られます。

このような方は更に詳しい検査が必要で、詳しく検査出来る施設にご紹介し、睡眠ポリソムノグラフィー検査と言う検査を行います。

確定診断後は、CPAP(シーパップ)という鼻マスク式の人工呼吸器を睡眠中に取り付けます。
器械が一定の圧力で空気を送り続け、その圧力で気道が開き、十分な呼吸ができるようになります。

SASの方にCPAPを行うと

・いびき・無呼吸・低呼吸が消失し、睡眠の質が改善する。
・日中に眠気が少なくなり、頭や夜間頻尿が改善する。
・高血圧、不整脈、糖尿病などのコントロールが良好となる。
・結果として、脳卒中や心筋梗塞などが減り、長生き出来る。

と言われています。

現在、当院でも数名の透析患者さんに対し検査を行っていますが、SASが見つかる方が多く、しかも重症な方が多くCPAP治療を開始しています。
これで、透析者の方々の合併症リスクが下がる事を期待したいです。
今後も積極的に透析者のSASを調べていく予定です。

2011.08.29
診療
生活 / くらし
グルメ / お酒

非常時の食料について

東北腎不全研究会の発表で、透析患者さんに非常用食としてカップラーメンは望ましくないと言う話が有りました。

この中に塩分が5g入っているのです。
通常、患者さんに指導する塩分量は1日6gですので、1食で5gのカップラーメンはお勧めできません。

発表された方のご意見ですと、減塩された非常食をストックすると良いと発表していまいた。
もっともなのですが、もし今回の様にとにかく逃げるだけで精一杯の場合はどうなんだろうと考えてしまいます。

避難所で出てくる食事が、カップラーメンだけだとしたら。

それで、以前ある患者さんから聞いたカップラーメンの食べ方を試してみました。

お湯を入れて3分経過した後、汁を全て捨てます。
その後、再度沸騰したお湯を入れて頂きます。

実際にやってみたのですが、ほどよく薄味になっていて、美味しく食べられました。
汁を捨てる前にもっと良くかき混ぜて、更に奥の汁を捨てても良かったかなと思うくらいです。

工夫するといくらでも減塩は出来るのでは無いかと思います。
減塩のレトルト食品などの特殊なものもいいですが、今回の様に逃げるのがやっとの場合ですと、避難所に有るものを工夫して減塩する必要があると思います。

いろいろ試してみたいですね。

2011.08.28
診療
研究
仕事 / 職場

東北腎不全研究会に参加してきました。

27日、28日と東北腎不全研究会に参加してきました。

27日はイブニングセミナーと懇親会のみでした。
今回は大曲の花火と重なった為か、皆さんホテルが予約出来なかったようで、懇親会の参加者も少なく、知っている先生も少数でした。

でも、最近知り合いになった先生とたくさんお話が出来てとても楽しい懇親会でした。

28日の研究会では、震災をテーマとしたシンポジウムや沢山の発表があり、とても勉強になりました。

余談になりますが、東北腎不全研究会で発表した施設の話です。
その施設は津波で1階は全てやられてしまったそうですが、2階の透析室は津波が届かず使用出来たそうです。

もちろん、停電になってしまいましたが、自家発電機があり、震災の次の日には透析を行うことが出来たと言う話でした。

その施設の自家発電機は、通常は屋外に置くはずなのに屋上に設置してありました。
建築会社は反対したそうですが、その土地は何度も津波にやられている場所で、今後も地震があったら津波が来るので屋上に作って欲しいとお願いしたそうです。

結果的に、地上に置いていたら何の役にも立たなかったでしょうが、屋上に置くことで、次の日から透析が行えたのですから、すばらしいですね。

透析室が全て水につかってしまった施設の技師さんともお話出来ました。
皆さん、大変な苦労をして、震災を乗り越えてきた事を知り、我々も原発事故という困難が有りますが、負けず頑張っていかなければと、改めて思いました。

2011.08.26
診療
研究
仕事 / 職場

透析クリニックが被災して 16

ちょっと間が空いてしまいました。

水道についてです。
震災直後は、郡山市内の大部分の地域が断水となっていました。
そのため、水道局の前は大渋滞となっていました。

クリニックのある地域は、たまたま断水とならず幸運でした。
郡山市内には透析施設が8施設ありますが、断水とならなかったのは当院ともう一施設のみでした。

日曜日に透析を再開するために、土曜日に透析配管の洗浄を行いました。
それで、日曜日の朝に給水タンクの水が減っておらず、どうやら断水になっていないようだと判り、ほっとしたことを覚えています。

施設によっては貯水タンクがない施設もありますが、水道が止まっても貯水タンクに給水車が水を入れてくれれば透析は出来ます。
給水車の給水タンクは2トンくらいなので、貯水タンクの容量を考えると5往復しなければ十分な水が確保できないのですが、それでも透析が可能となります。
だから、自施設に貯水タンクがない場合は是非とも貯水タンクを増設した方がいいです。

今回の震災で、高架水槽(屋上の給水タンク)が転落破損した病院が数施設あり、院内が水びたしとなる被害が続出し、修理が大変でした。
やはり、貯水タンクは、揺れで破壊されにく給水し易い地上に置くべきですね。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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