お勧めの本
お勧めの本をご紹介します。
患者視点の新しい透析治療―わかりやすい計画から実際の処方まで
政金 生人 (著)
愛Podで有名な山形の矢吹嶋クリニック院長の政金生人先生が透析についての本を出しました。
目次
適正透析・よい透析とはなにか
透析液清浄化の重要性
HD・HDFにおけるダイアライザの選択
MIA症候群の予防
愛Pod調査による患者愁訴のモニタリング
透析低血圧対策
かゆみ・イライラ・不眠対策
アミロイド骨関節痛対策
高齢者透析のコツ
透析プログラムの考え方
患者中心の療法選択
患者とのコミュニケーション
どのような透析が患者さんにとって優れているのか、大切なのかが書かれています。
目から鱗の内容です。
是非お勧めいたします。
避難所のボランティア医療班の活動
先日、医師会の夏の集いがありました。
郡山の避難所で診療をしている双葉郡医師会長・井坂晶先生(富岡中央医院/富岡町)の講演会が行われました。
題名は、
『東日本大震災に於ける避難所のボランティア医療班の活動』
でした。
原発事故の次の日早朝に1号機が水素爆発したため、避難指示が出され、30km離れた川内村に避難し、川内村の診療所で救護活動を行い、3号機爆発のため川内村と共にビックパレットに逃れ、ボランティア医療班活動を開始したそうです。
ビックパレットで、救護活動から始まり、精神面のケア、栄養食事指導、そして慢性疾患の管理、そして集団生活ですので感染症対策、エコノミー症候群の予防など幅広く活動された事を知りました。
着の身着のまま逃げてきて、なおかつ避難所で診療を続けてきた先生方の献身的な働きには頭が下がりました。
今後は、大玉村に仮設診療所を設置し診療を行っていくそうです。
たまたま、救護活動をしていた先生の1人が大学時代に一緒に救急医療を行っていた先生でしたので、久しぶりの再開で話が弾み楽しい時間を過ごす事が出来ました。
透析用水の水質検査
今回の震災直後の水道が再開通した時点では、かなり汚れた水が流れてきて、プレフィルターが真っ黒になりました。
震災後、少し落ち着いたので、貯水槽の清掃を行いました。
報告書には水槽が綺麗になった写真も写っていました。
清掃と共に透析用水の検査を行いました。
以下に結果を示します。
一般細菌、大腸菌や塩化物イオンも異常なしで、TOCも基準以下となっていました。
今回は、透析液清浄化ガイドラインに載っていたカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、銀などの項目も測定しました。
透析液清浄化ガイドライン Ver. 1.06を参考に測定しましたが、 特殊検査のようで、数万円の追加費用がかかりビックリました。
http://www.jacet.or.jp/cms/10topics/guideline_Ver106.pdf
きちんとした透析を行っていくには必要な検査ですので、定期的に続けていきたいと思います。
震災前後での患者状態比較3
患者さんからの声です。
時間が短くなり透析後が辛くなったと訴える方は多かったです。
血圧が高くなり、早く透析時間を元に戻して欲しいと訴える方もいました。
水道からは濁った水しか流れてこなかったのでオンラインHDFは中止しました。
このことと時間短縮から、全身のかゆみが出現したと訴える方もいらっしゃいました。
透析中に地震がおきるのではないかという心配は、我々にもありました。
透析時間の短縮は、材料の不足だけでなく、なるべくリスクを少なくする為という考えもありました。
あの当時は、電源が何時ダメになるか分かりませんでした。
そのため、透析がいつまで続けられるかとても不安でした。
内服薬についても薬がなくなってしまう不安が有りました。
原発が水素爆発した次の日に門前薬局が突然閉めてしまい、連絡が取れなくなったこともありました。
あれ以降の数日間は精神的に特に辛かったです。
患者さんと家族の両方を守る事は出来ないと考え、家族には一時的に避難してもらいました。
1週間後には戻ってきましたけどね。
考察です。
震災直後から透析患者に血圧上昇の傾向が見られましたが、通常透析を再開したところ、徐々に安定してきました。
震災後は、患者さん達が体重が増えないように頑張ったのだと思います。
今後も不測の事態に備えていく必要があります。
震災前後での患者状態比較2
震災以前の平均体重増加量は2.1kgでしたが、震災直後の2週間は1.8kgまで低下しています。
これから透析が受けられるか分からないという危機感が患者さん達にも有って体重増加が少なかったと思います。
透析前血圧ですが、震災直後は皆さんとても高く、3時間透析の期間、4時間透析の期間、通常になるにつれて透析前血圧は下がっています。
しかし、最大余震直後は再び血圧の上昇が見られます。
体重増加も透析前血圧も有意な変化があったというのが結論です。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。