「病院の言葉」を分かりやすくする提案
独立行政法人に国立国語研究所と言うところがあるようです。
先日の新聞で、国立国語研究所の「病院の言葉」委員会が10月21日、患者にとって難しい医療用語を分かりやすく説明するための手引の中間報告を発表したと言う記事がありました。
その趣意書には、
これまでは、医師が考えた治療方針に患者や家族が従うのが一般的であったが、最近では、医療者から十分な説明を受け、理解して納得した上で、治療方針を自分で選択する世の中になってきている。
ところが,患者は,医療者の説明を十分に理解できない場合がよくある。
原因としては、説明で使われる言葉に、患者がこれまで使い慣れていなく、わかりにくい言葉が混じっていることが考えられる。
そのため、患者は医師が話す言葉を,分かりやすく言い換えたり,説明を加えたりしてほしいと考えている。
患者がどのような言葉を分かりにくいと感じ,どのような誤解をしているのか,病院・診療所で使われる言葉の問題がどこにあるのかを把握し,誤解を与えず分かりやすく伝えるには,どのような言葉や表現を選べばいいか提案したい。
以上の内容です。
140個の言葉があり、これらは、
(A)患者に知られていないので、日常用語に言い換える必要があるもの
(B)患者は言葉は知っているが理解が不十分なもの
(C)患者にも大切なので普及させるべきもの
に分類され、典型的な57語については詳しく説明が付いています。
我々にとってもありがたい取り組みです。
現時点で中間報告ですので、しっかりした提案ができあがるのが楽しみです。
http://www.kokken.go.jp/byoin/
CKDって知ってますか。
先週の木曜日と金曜日に慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease 、CKD)の講演会に行ってきました。
連日の研究会です。両方とも、CKDについて有名な先生の講演だったので、連日でしたが行ってきました。
最近、CKDは注目の的となっています。
CKDは、慢性的に腎機能が低下している状態のことを言います。
透析となる前段階の状態なのですが、透析とならなくても、糖尿病や高血圧症、動脈硬化を促進させ、心筋梗塞や心不全、脳卒中など、いわゆる心血管障害(CVD)のリスクが高くなることが問題だと言われています。
近年透析患者さんはかなり増加してきています。
それでも、全国民から見ると、透析が必要になる患者さんはごく一部の方ですので、CKDがこれほどまでに注目されることはなかったと思います。
その理由は、末期腎不全に至らなくても、CKDによって心血管障害が悪化してしまうことが分かってきたからです。
CKD診療ガイドより引用
最近では、成人の19%の方がCKDであると分かって来ました。
その率は、年齢が上がるほど高くなり,65歳以上では37.6%,75歳以上では40.7%であるという報告もあります。
非常に高率ですね。
最近、慢性腎臓病は、その危険因子である糖尿病や高血圧を予防することで発症を抑えられると言われております。
しかも、慢性腎臓病は病状が進行しなければ、ほとんど自覚症状がない病気です。
そのため、健診や人間ドックなどで検査を受けなければ、病気として発見されず。気づかないうちに進行してしまう恐れがあります。
この様にCKDは、検査で早期発見し、適正な治療を行うことがとても重要だと言われているのです。
2,3年前より、CKD防止のキャンペーンは全国で繰り広げられております。
腎臓病を診療していく一人として、CKDを減らすために、努力していきたいと考えております。
排尿後尿滴下
我々泌尿器科医は排尿の状態をよくするのが仕事です
排尿の症状は、蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状の3種類に大別されます。
最近、その中で、排尿後症状の一つである”排尿後尿滴下”が注目されているようです。
オシッコをし終わった後に尿道内に残った尿がもれて下着が濡れる状態です。
以前は、尿道内残尿と言っていました。
患者さんが、そのような症状を訴えると、『よく振ってください』とお話しするだけでしたが、困っている方はたくさんいるようです。
20〜50歳代のサラリーマンを対象とした調査では、排尿後尿滴下の頻度は年代が高まるにつれ高頻度となり、1割から2割の方に認められるとのことです。
原因はよく分かっていませんが、排尿障害がベースとなっていることが多く、尿の勢いが弱く、出し切れずに尿道内に残ってしまうためではないかと言われています。
そのため、α1ブロッカーという排尿障害治療薬が有効と言われています。また、骨盤底筋体操といういわゆるしまりをよくする運動も有効だという報告もあります。
尿道は、陰嚢の裏側から陰茎の先端に向けて通っていますので、その部分に沿って指で押し出す事を繰り返し行う事も有効です。
そして、下着やズボンの形が尿を出しにくい形であると排尿後滴下が起こりやすくなりますので、排尿しやすいズボンを選ぶ事も大切です。
病院に勤務していたときは、透析の診療を行い、入院の患者さんを診て、手術を行い、その上で外来をやっていました。
今は、透析診療と外来診療のみとなりました。
これまで以上に、患者さんの細かい症状に対応できるよう、頑張っていきたいと思っています。
慢性前立腺炎と体外衝撃波
英国の泌尿器科雑誌に、体外衝撃波が慢性前立腺炎に有効だったという報告が有りました。
慢性前立腺炎はやっかいな病気です。
会陰部や下腹部,陰嚢部などに鈍痛や不快感を感じ、頻尿,排尿痛,残尿感などもみられます。射精前後に痛みなどもよくある症状です。
慢性的に症状を訴え、直らないで困っている患者さんが沢山いらっしゃいます。
慢性前立腺炎の診断は、診察の時におしりから指を入れて前立腺をマッサージし、痛みを感じるかどうかで判断します。
慢性前立腺炎には、細菌性前立腺炎と非細菌性前立腺炎があり、細菌性前立腺炎は、前立腺マッサージを行い、膿が出てきたときに診断されます。
膿が出てこなければ非細菌性前立腺炎となります。
一番直りにくいのが非細菌性前立腺炎であり、前立腺痛とか前立腺症と言う名前でも言われます。
ずっと座っていることや、冷え、ストレスなどが原因となるようで、30−40歳代に多い病気です。
治療は、抗生物質の投与や前立腺炎に適応のあるセルニルトンというお薬を処方しています。
改善しない場合、α1ブロッカーという薬を追加する場合が有ります。
しかし、それでも直らない患者さんがかなり沢山いることが、前立腺炎の一番困ったところです。
当院では、数名ですが、光治療を行うことで劇的に改善している患者さんもいらっしゃいます。
これは、前立腺に向かう神経を刺激して、前立腺周辺の血行を改善する効果があります。
多分、体外衝撃波も神経を刺激して血行をよくするのではないかと思いますので、通じるものがありそうです。
温泉卵やってみました。
昨日お昼に、透析スタッフみんなが温泉卵をつぶしてみました。
みんなの話からは、『かなり強く押しても割れなかった』と言うのが感想の様です。
僕もやってみました。。
時々止血をするのですが、いつもよりは強めの感覚でした。
ただ、押すのだけれど、卵が割れない様に押すという感覚はあるように感じました。
患者さんの止血を行うときの感覚に似ているかもしれないと少し感じましたね。
それで、『かなり強く押しても割れなかった』ことについてのみんなの感想は、皇室も泊まったことがある月岡ホテルの温泉卵は、普通の卵を使った温泉卵よりも殻が厚くて、しっかりしているので割れなかったのではないかと言うことでした。
割った後、すごく美味しかったです。
次回は、スーパーで売っている一般的な温泉卵で試してみたいと思います。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。