2009.06.26
診療
研究
仕事 / 職場
その他(医療関連)

学習講演会8

さて、学習講演会ですが、これまでと違った話となります。
今回からは、透析の仕組みについて説明します。
透析の仕組み、つまり拡散とろ過についてです。

一般的に行われている透析では、透析の主体であるダイアライザーは、その中にマカロニみたいな中空糸と呼ばれる管がたくさんあり、血液が流れていて、その外側に透析液が流れています。

そして、その管には、たくさんの小さな穴が空いており、水分、毒素、電解質や、分子量の小さな物質が自由に移動出来るようになっています。

電解質や尿素などの小さな物質は、拡散によりどんどん中空糸の外に広がっていきますが、穴に近い大きさの物質は、小さな穴を通り抜けるよりは血液の流れに乗って流れて行きやすく、なかなか中空糸の外に出にくいのです。

これは拡散を説明する図です。
理科の実験で、半透膜を通して物質が移動する事を習ったと思いますが、拡散では、穴より小さい物質はその濃度差で移動します。
拡散での移動は、穴の大きさに比べて非常に小さい物質の方が移動しやすく、移動できる物質は濃度差で動きますので、効率も良いようです。

それに対して、ろ過は、圧をかけることで、穴を通れる物質は水と共に同じ濃度で移動しますので、大きい物質でも移動しやすいと言えます。しかし、水の移動の分なので効率は悪いです。

ここで、一般的に行われるろ過透析は、拡散だけの透析に圧をかけてろ過も一緒に行っている透析となります。
この場合、抜けにくい物質はろ過で移動させ、小さな物質は拡散で移動させるので、非常に効率が良くなるのです。

2009.06.21
診療
研究
その他(一般)

学習講演会7

時間の次は血流量と来ましたので、1回の透析で行う透析の量である標準化透析量Kt/Vについて説明します。

Kは、そのダイアライザーが除去する尿素の量であり、透析の効率を示します。これは、ダイアライザーの性能や、血液流量、透析液流量、濾過量に左右される数値です。tは透析時間, Vは尿素の溶解している体液量となります。

Kt/V=1とは、理論的に「全体を『一通り』きれいにしたこと」を意味するそうです。

Kt/Vも数値が高くなるにつれて、生存対するリスクは低くなっていくようです。
この調査では、Kt/Vが1.6以上になると生存のリスクは変わらない結果ですが、フランスのタサン病院で行われている8時間透析では、Kt/Vも1.85まで高くなり、非常に高い生存率となっています。(時間は独立した因子であるという考え方も有るので、高い生存率は長時間透析によるものではないかという指摘も有るかもしれませんが、他に紹介するものがなく、タサン病院を書きました。)

透析はどのくらいまでやっていいかという議論が出てきますが、僕は透析はどんなにやってもやり過ぎと言うことはないと思います。
それは、一般の人の腎機能が100とすると、腎不全末期では10未満の腎機能しかなく、透析をどんなに行っても20を超えることは難しいからです。

ただ、食事の取れない人では、いっぱい透析をやると痩せてくることが有ります。透析量を増やすことにについて行けない人がいます。
そのような方では、まずは栄養指導をしっかり行い、エネルギー摂取量を増やす様に指導すること、そして透析中に栄養改善の点滴を行ったりしています。

それでも改善しない場合には、透析膜を変えたり、ろ過を落としたり緩やかな透析にしています。

対応として時間を短くすることは誤りです。
特に高齢者では、データが良いから時間を短くしていいと言う考えがありますが、高齢者では、ゆっくり時間をかけて抜くことがいいのです。

2009.06.21
診療
開業 / 病院経営
研究
生活 / くらし
その他(医療関連)

学習講演会6

十分に毒素を抜く透析とはで、回数増やす事、時間を延ばすことを説明しました。
そして、その次に効率を良くするのは、血流を上げることです。

ただ、血流を上げることはそれほど効果は高くないです。
回数>時間>>血流
くらいに思ってください。

でも、ちょっと小耳に挟んだ話ですが、血流200で4時間と、血流240で、4.5時間で一年生存率のリスクが数倍違うという話もあるようです。

米国の透析は、効率第一主義です。
ですから、血流を非常に高くします。
ただ、それで効率を良くして時間を短くしようとしたため、生存率は日本より悪くなっています。
時間は短くせず、出来るならば血流を上げる事が大切です。


愛腎協ホームページより

これは、愛腎協のホームページから借用しましたDOPPS研究の結果です。

DOPPSとは「血液透析の治療方法と患者の予後についての調査」のことで、世界12カ国で2万人の透析患者さんに対する調査から、治療方法の違いが予後に影響していないかを研究した大規模調査です。

日本では、一般的に血流が低いのですが、血流を上げると強い傾きで生存のリスクが改善します。
高血流の米国でさえ、やはり血流を上げると傾きは緩やかですが、リスクが下がります。

そこで、よく言われるのが、『血流量を上げると、心臓に負担がかかるのではないか。』と言うことです。

でも、シャントに流れる血液は、毎分500-800mlです。
1000ml以上になると心臓に負担がかかる可能性があると言われています。
それで、仮に動脈側から300mlの血液を毎分脱血しても、同じ量の血液をシャントに返していますので、なんら問題ないと思います。

2002年に発表された米国での研究でHEMO studyと言うものが有ります。
透析量の大小、ダイアライザーの差によって、生命予後に差が出るか調べた研究です。

この研究で、血流量を上げて透析量を増加させた「高透析量群」において、死亡リスクや心臓死のリスクは増加しないと言う結果が分かりました。

脳血管障害が多い日本と比べ、心疾患が多い欧米で、しかも日本よりかなり高い血流で透析している米国の研究での結果です。

血流を上げることは明日からでも可能です。
いっぺんに上げると、具合が悪くなる場合も有りますので、まずはちょっとだけ上げることを試してみてはどうでしょうか。

2009.06.19
診療
開業 / 病院経営

7月15日水曜日午後休診となります。

平成21年7月15日水曜日は、院長が午後より福島県立医科大学に出張となりました。

そのため、午後の診療は休診させていただきます。
午前中は通常どおり診療いたしますので、よろしくお願いいたします。

2009.06.16
診療
開業 / 病院経営
仕事 / 職場

民友に広告を出しました。

先日、広告屋さんから、たまたま民友1面お天気欄の下の広告部分が空いたと連絡があり、初めて新聞広告をお願いしました。

ちっちゃいですが、もし民友を取っている方がいらっしゃいましたら、ご覧になってみてください。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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