なぜ血流を上げると生存率がよくなるのか。
ここまで、オンラインHDFを中心に説明を行ってきました。
今回はちょっと血流に付いての補足です。
これは最近作ったスライドですので、学習講演会ではお話ししていません。
学習講演会6で血流を上げると生存率がよくなる事を説明しました。
ただ、血流を上げれば効率はよくなりますが、お見せしたグラフで死亡に対する相対危険率がずいぶんとよくなっているので、本当にこんなによくなるのかと考える方もいらっしゃるのではないかと思います。
その原因について説明したいと思います。
これは、僕が考えたことですから、とりあえず話くらいに聞いてください。仮説みたいなものです。
透析のコンソールの中には、中空糸が沢山あります。
血液がその中を流れ、尿毒素は中空糸にある孔を通って透析液側に出て行きます。
小さな物質は動きやすいですが、大きな物質は動きにくいです。
これは、中空糸の膜の内側に境膜という部分が出来て、その境膜を物質が通りにくい性質のためです。
境膜については、勉強不足でよく分からないところがありますが、このような部分に出来る膜と言うより薄い層で、物質が移動しにくくなる原因となります。
移動しやすくするためには、境膜が薄くなれば移動しやすくなります。
そこで、高血流にすることで、この境膜が薄くなり、血液側にある尿毒素が透析液側に移動しやすくなるのではないかと考えられます。
他にも、この境膜を薄くする手段は考えられていて、血流を上げることはその1つではないかと思います。
また、血流が早くなると圧が生じ、ろ過が起こってくるのではないかという話も聞いています。
血流を上げることは、単純に流速を上げる以上に大きな効果があるかもしれません。
6月のエンドトキシン濃度の測定結果が出ました。
6月のエンドトキシンと細菌の培養検査の結果がでましたので公表します。
6月16日に行った検査結果では、
ET活性値:0.0003 EU/mL未満 (測定感度未満)
生菌数:0.1 CFU/mL未満 (測定感度未満)
でした。
今回もウルトラピュアな透析液が保たれていました。
ちょっと報告が遅れすみませんでした。
今日、スタッフが『すいませ〜ん。遅れてしまって』と言って報告してきました。
そういえば、週末今月の結果まだだなと思ったのですが、そのまま忙しく忘れていました。
一番大切な部分なのに、だめですね。
来月、市内で行われる透析の研究会で、透析液清浄化の講演が有り、前座として当院臨床工学士が、当院が行っている透析液清浄化について報告することになっています。
透析液清浄化は、透析治療の根本となるところですので、しっかりしていかなければなりません。
糖尿病療養指導士会講習会
今日は、2009年第一回糖尿病療養指導士会講習会に参加してきました。
糖尿病を診療する医師以外のスタッフが取得する資格として、糖尿病療養士という全国的な資格があります。
糖尿病診療に従事する専門医の元に指導を受けたスタッフが講習と試験を受けて取得する資格です。
先日、クリニックに3回の講習を受けて試験に合格するともらえる福島県糖尿病療養指導士という資格があり、講習会参加者を募集しているというファックスが届きました。
この資格は、昨年始まったそうですが、スタッフ以外でも糖尿病を専門としていない医師も対象としており、昨年は実際に参加した先生もいらっしゃったそうで、僕も参加を申し込んでみました。
6、7,8月の最終日曜日に一日かけて講習会を行い、10月に試験が有るそうです。
場所は、新しくできた県の農業総合センターですが、とても大きな建物でびっくりしました。
もうちょっと税金の使い道を考えて欲しいと思うくらい立派です。
講習は、朝10時から昼休みを挟んで、15時半まで行われました。今回は糖尿病の成因や診断、そして食事療法、運動療法などの講義で、とくに運動療法や食事療法では、明日からの診療に役立てそうな話を聞くことが出来ました。
最後に受講修了書を受け取り、帰路についたのですが、後2回で、たくさんの知識を身につけたいと感じました。
最後に、進行役の先生から(仲の良い同級生です。)、昨年講習を受けた先生は、試験トップ合格だったからとプレッシャーをかけられて帰ってきました。
学習講演会10
なぜ、そのような症状が有るときだけしかHDFを行わないのでしょうか。
透析の機械はコンソールと呼ばれています。
一般のコンソールでは、HDFは出来ません。
HDF専用のコンソールが必要です。このコンソールには、輸液ポンプが別に付いていて、輸液ポンプから点滴を注入するラインの分も計算して除水しますので、その分厳密な除水管理が必要な機械となりますので、一般のコンソールよりも高価な機械になります。
そして、通常の透析液以外に補液する分の液が必要になりますので、コストが高い治療となります。
そのために、現状の医療保険では限られた患者さんしか適応としない治療となるのです。
そこで考えられたのが、オンラインHDFです。
この方法は透析液を点滴出来るほどきれいしてしまい、この透析液を点滴してろ過を行います。
通常のボトル型HDFの置換液10L位までなのに対し、オンラインHDFでは置換液が50リットルくらいまで行えます。
そして、この方法のもう一つの利点は、出入り口が同じなので、ボトル型HDFより安全に行える治療法であると言うことです。
前希釈オンラインHDFの模式図です。
流れてきた透析液が、透析液とろ過の部分となる補液(点滴)に別れます。そして、補液は血液と混じります。
ここからは、一般の透析と同じで除水が行われますが、このときに除水されるのは、体重増加分と補液分となります。除水した液は透析液と共に捨てられます。
つまり、初めに透析液と補液に分けられた透析液は、最終的には、透析液として出てくるのです。
除水分だけ出口で増量するのは、一般の透析と同じであり、補液様に別の点滴を用意するボトル型HDFに比べて安全な治療となるのです。
どうですか。
オンラインHDFは、透析液をきちんときれいに出来るならば、安全でとても優れた治療なんです。
学習講演会9
再び、学習講演会です。
実は、通常の透析でもろ過は行われています。
それは、除水をするからです。
除水量が多い方がろ過が多くなるので、物質の抜けも良くなると声を大きくして言う人がいますが、除水量が多い事は体重増加が多いという事になり、心臓に大きな負担がかかりますので、それは間違った考えです。
それならば、点滴をしてその分除水すれば、ろ過の量が増えるという事から行われているのがろ過透析HDFです。
ろ過透析は、小さい物質に対する効率が良い透析と、大きい物質の除去がいいろ過を合わせたものですので、透析治療の中ではもっとも優れた治療法になります。
腎臓は、ろ過で尿を出していますので、それを積極的に取り入れたろ過透析(HDF)は透析(HD)より生理的な方法であると言えるでしょう。
一般的には、HDFはスライドの様な病態に対して行われています。
通常の透析では改善しないような病状に対して行われています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。