夜間頻尿について
今回から、少し夜間頻尿について書いてみます。
夜間頻尿の定義ですが、夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えを言います。
一般的には、ご高齢の方では夜間1回くらいは起きるので、2回以上の訴えの方が多いです。
頻度は、高齢者で40−80%くらいなのですが、若年者でも10−30%の方が訴えています。
では、夜間頻尿の何が問題であるかということですが、不眠を一番に考えるかと思いますが、高齢者においては夜間トイレに行くことで転倒、骨折を起こす場合があり、このことはとても問題だと言われています。
以前、夜間頻尿と骨折との関連についての報告が有りました。
2回以上の夜間頻尿の高齢者では、3年間での骨折のリスクが、1回以下の方の2.63倍に上昇する結果でした。
しかも、夜間頻尿が2回以上の高齢者で有意に死亡率が高かったことも報告されています。
これまで、『脳梗塞や心筋梗塞は夜間に多いので、その予防の為に寝る前にコップ一杯の水を飲みなさい。』という生活指導が、当然のことのようにされていました。
しかし、最近では、急性心筋梗塞、心臓虚血、心臓突然死の発症時刻の報告が相次いで行われています。
これらの報告では、ほぼ例外なく早朝に多発することが明らかになっています。
国際的な大規模研究ISIS-2では、午前6時から午後11までにピークがあると言わており、他の3000例の研究でも、午前9時における発症が午後11時の約3倍の発症リスクであると報告されています。
また、脳卒中についても、脳梗塞患者1137例の研究で、午後8時から正午までの時刻の頻度が最も高く、深夜から午前6時までが最も少なかったと報告されています。
原因としては、夜間高血圧と血小板凝集能が午前中に亢進しやすいことなどが有るようです。
寝る間は夜間頻尿を防ぐために水分を控え、目が覚めたらゆっくり床から離れ、しっかり水分を取ることが大切です。
EDの薬物療法
EDでは、PDE5阻害薬という薬が用いられます。
日本で処方可能なのは、バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類になります。
もっとも早く発売されたのがバイアグラで、その後レビトラ、シアリスが発売されています。
効果はほぼ同等ですが、日本で販売されているバイアグラは25mgと50mgで、世界中で使用されている100mgは販売されていません。
そして、バイアグラとレビトラの場合、食事に影響されますが、シアリスでは食事の影響が無く、食後でも安心して使用できます。
副作用としては、
3剤とも、硝酸剤との併用すると、血圧低下を起こし危険です。
さらにα-1ブロッカーと言う前立腺肥大症の薬と併用しても、血圧が下がる可能性が有ります。
その他に、頭痛、消化不良、顔面紅潮、鼻づまり、視覚異常などがあります。
そして、突然の無痛性視野欠損と言う副作用があり、これは有効な治療が無いようです。
他にも持続勃起症などの副作用も有りますので、十分に注意して使う必要が有ります。
当院では、バイアグラは25mgと50mg、レビトラ20mg、シアリス20mgを院内処方としておいていますので、ご希望の方はどうぞ声をかけてください。
EDの原因
今回は、話はがらりと変わって、ED(勃起障害)のお話です。
援腎会すずきクリニックは、人工透析と泌尿器科のクリニックですので、EDの患者さんもいらっしゃいます。
現在、EDの治療薬として、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどの薬剤が発売されており、効果が十分にあり、副作用も少ない薬ですので、広く処方されています。
そのため、当院を受診するEDの患者さんは多くないようです。
当院を受診された患者さんに対しては、専門医として十分な説明を行って処方するように心がけています。
それで、患者さんに行う説明で重要な点は、どのような原因でEDとなっているかです。
一番の要因は年齢です。
70才代で71%の方が中等度以上のEDだと言われています。
次に、喫煙があげられます。
一般人でも28%の方にEDが認められますが、喫煙者では40%と高率になります。
そして高血圧です。高血圧の治療を受けている方の15%が全く性交が出来ない完全EDであると言われています。
また、糖尿病の患者さんの約30%がEDであると報告されています。
実は、糖尿病の患者さんがEDになったと言うことは、とても重要なんです。
糖尿病患者さんがEDである場合に無痛性心筋梗塞を起こしている可能性が88%も有るそうです。
EDは合併症の無い糖尿病患者さんの無痛性心筋梗塞の予知マーカーとしても重要だと言われています。
その他、高脂血症や肥満、そしてうつ病や前立肥大症でもEDが起こる可能性があるようです。
また、降圧剤や精神疾患の内服薬でもEDは起こりますので、心配な方は専門医を受診されるといいでしょう。
お盆ですね。
今日から、クリニック外来部門はお盆休みになりました。
透析治療は通常通り行われていますので、僕的には外来が無い分ちょっとお休みモードです。
こういうときこそ、今までやっておらず、貯まっている書類の整理や、読んでいない文献を読むなどのお仕事をした方がいいのですが、ちっとも進みません。
今やらなくてもいいよな、どうでもいいことをやりたくなるんですよね。
最近、酒井法子の覚醒剤事件の話題で持ちきりですが、「歯がボロボロだった」という話がよく出てきます。
健康にとって歯は大切ですからね。
ここで、強引に透析者と歯の話に持って行きます。
透析者では、歯周炎が生じやすいと言われています。
その理由は、
①副甲状腺機能亢進症により、破骨細胞が活性化し、元々破骨細胞が出現しやすい歯槽骨の周りが破壊される。
②唾液量が減少するから
③最近では、糖尿病が原疾患の患者さんが多く、糖尿病による影響が有る
④免疫力が低下している
⑤出血しやすい
臨床透析vol25No6より
などがあります。
歯が悪いと、食欲がわかず、栄養失調になりやすいですよね。
最近の研究では、歯周炎と心臓病の関連があり、心内膜炎の原因になったして、死亡率を上げる要因になっているとことも報告されています。
歯は大切です。
しっかり歯医者さんで直して貰いましょう。
蛋白尿について
検診の検尿で蛋白尿を指摘される方が時々来院されます。
今回は、蛋白尿について書いてみます。
CKD(慢性腎臓病)診療ガイドに詳しく記載されていますが、慢性腎臓病を考えた場合、もっとも重要な検診での検査項目は蛋白尿となります。
検診で蛋白尿を初めて指摘される患者さんの割合は、0.5%くらいと低いです。
しかし、蛋白尿と血尿が両方とも陽性(1+以上)の方では、10年間で約3%の方が透析導入となると言われています。
そして、蛋白尿は多いほど予後が悪く、17年の経過観察によると尿蛋白3+で16%、2+で約7%が透析導入していると報告されています。
CKD(慢性腎臓病)診療ガイド2009より
これを見ると一目瞭然ですが、尿蛋白陽性の患者さんのうちで、2+以上が予後が悪いです。
蛋白尿1+は±、−とさほど変わらないのですが、2+以上になると急に悪化することが分かります。
検尿を行ったときに、尿蛋白2+以上の結果があった場合には、専門医に相談することをお勧めいたします。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。