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2025.08.17
一般

水抜き法のリスクについて

今回は、従来の減量法と「水抜き法」を行った場合、それぞれのリカバー後に脳へどのような影響が生じるのかを解説します。
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通常状態
通常の状態では、身体と脳の両方に水分や塩分、栄養分がバランスよく行き渡っています。このときは体と脳の環境が均衡し、安定した状態です。
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従来の減量法による脱水状態
減量のために水分摂取を制限して従来からの運動などで徐々に体重を落とす方法を行うと、体から水分が失われます。結果として体内の物質濃度が高まり、脳も同様に脱水状態となります。
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リカバー状態
身体が水分を補給すれば回復していきますが、脳はそう簡単には元に戻りません。
その理由は「血液脳関門」と呼ばれる仕組みにあります。これは脳の環境を守るため、物質の出入りを厳密に制限する構造です。
そのため、身体の水分は回復しても脳内の水分はすぐに戻らず、数時間〜十数時間の「ズレ」が生じます。この間は脳がまだ脱水傾向にあり、外傷リスクが高まるのです。

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ここで「水抜き法」について解説します

「水抜き法」とは、試合の1週間ほど前から塩分を抜き、大量の水を飲んで利尿状態にしたあと、一気に水分を抜いて脱水状態に持っていく方法です。

水抜き過程

• 塩分制限
計量の1週間前から、水抜きをしやすくするために塩抜きといって身体中の塩分を抜く作業をします。塩分(電解質)を抜くことで、体内の浸透圧を保つ物質も減少していきます。
 • ウォーターローディング
試合の5-6日前から毎日 水を5-6ℓ飲みます。
目的は水抜きの時に、大量の飲水により利尿を亢進させ、体が『水を排出しやすい状態』に慣れる身体をつくるためです。こうすることで水抜きの時に、さらに水が抜けやすくなります。
• 急激な脱水
計量の前日から水抜き開始です。サウナスーツを着て身体を動かし、更に半身浴などで体重を落として行きます。
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リカバー状態の問題点
リカバーでは身体に水分や栄養が戻りますが、ナトリウムやグルコースなど浸透圧に関わる物質の移行は制限され、急速な体液変化に対して脳は遅れての対応となるため、脱水による脳実質の軽度の萎縮や脳脊髄液量減少による緩衝能低下が続き、脳が衝撃に弱い状態が続いてしまいます。
以上が水抜き法のリスクです
まとめ
水抜き法は短期間で大きく体重を落とせる一方で、脳の回復が遅れることから外傷リスクを高める危険性があります。特に、リカバー直後は身体は元気に見えても脳はまだ完全には戻っていないため注意が必要です。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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