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2025.08.08
一般

「タミフル=異常行動」は誤解だった?―約70万人の調査結果から

かつて、インフルエンザ治療薬「オセルタミビル(商品名:タミフル)」が小児に異常行動を引き起こすのではないかと報道され、大きな社会的関心を集めました。その影響で、一時は10代へのタミフル処方が制限されたことも記憶に新しいかもしれません。

しかし現在では、インフルエンザそのものが精神症状(異常行動など)を引き起こすことが分かっており、タミフルの副作用によるものではないことが明らかになってきました。

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今回ご紹介するのは、5~17歳の約70万人を対象とした大規模研究の結果です。この研究では、インフルエンザにかかった子どもにオセルタミビルを投与した場合と、未投与の場合で、精神・神経症状の発症率を比較しました。

その結果、オセルタミビルを投与された群では、未投与群と比べて精神・神経症状が約半分に減少していたという報告が得られました。

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具体的には、以下のような結果が示されています:

  • 全体のインフルエンザ症例151,401件のうち、66.7%(95%信頼区間:66.5~67.0%)にオセルタミビルが使用されていました。

  • 最も多かった有害事象は、気分障害(36.3%)および自殺や自傷行為(34.2%)でした。

  • 未治療のインフルエンザと比較して、オセルタミビル治療中(IRR: 0.53, 95%CI: 0.33–0.88)、および治療後(IRR: 0.42, 95%CI: 0.24–0.74)のイベント発生率は低下していました。

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  • サブ解析では、精神医学的イベントのリスク低下(IRR: 0.80, 95%CI: 0.34–1.88)よりも、**神経学的イベントのリスク低下(IRR: 0.45, 95%CI: 0.25–0.82)**の寄与が大きいことが示唆されました。

この結果は、「タミフル投与によって子どもの神経症状が増えるどころか、むしろリスクが下がる」ことを示しています。にもかかわらず、当時は「タミフルが異常行動を引き起こす」とマスコミが一斉に報じたため、多くの人が薬害のように受け止めました。

実際には、インフルエンザをはじめとする高熱を伴うウイルス感染では、薬に関係なく**「熱に浮かされたように」異常行動が出ることは昔から知られていた**現象です。

今回の一件は、子宮頸がんワクチンの報道とも重なる部分があります。薬に対する不安を煽るような報道が、予防や治療の機会を失わせてしまうことのないよう、私たちも正しい情報に基づいた判断をしたいものです。

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https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2837165?guestAccessKey=fc89fa3e-04f9-46ce-9415-0661495369d7&utm_source=twitter&utm_medium=social_jamaneur&utm_term=17770532013&utm_campaign=article_alert&linkId=849227791

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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