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2020.10.01
一般

KT/V(尿素の標準化透析量)について​

 

尿素の標準化透析量であるKT/Vについて質問があり、説明文を作成して院内に掲示しました。

KT/Vは除去する効率に時間をかけて体表面積で割った数値であり、簡易的に透析量が測定出来ますので、多くの施設でも使われているかと思います。

日本透析医学会が発行している『維持血液透析ガイドライン:血液透析処方にもKT/V1.2以上を推奨し1.4以上が望ましいと書かれています。

1.6上になると死亡リスクに大きな差が出なくなりますが、1.8以上までは死亡リスクの有意な差があるとも書かれています。それ以上になると、絶対数が少なくなってしまい十分な比較が出来ないので差が出ないのではないかと思います。

 

説明文にも書きましたが、KT/Vは簡便な指標で、明かな透析不足が無いかを調べるツールと考えた方がいいと思います。今は、高性能の膜を使ってβ2マクログロブリンやα1マクログロブリンなどの低分子量蛋白をターゲットとしていますので、KT/Vのみで透析が十分であるかどうかを議論する事は出来ないですね。

それと、以前米国で、大きな膜を使って血流を上げることで、透析時間を短くしてもKT/Vを下げない治療を行った時期がありました。3時間透析で血流は500ml/分とかの条件です。

そうしたところ、具合が悪くなる方がたくさん出てきました。

いくらKT/Vが下がらなくても透析時間を短くすれば具合が悪くなると言う事が分かり、その後改善されたようです。

透析時間は、KT/Vとは独立した生命予後を決める因子だという事が知られています。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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