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甲状腺癌について
http://www.asahi.com/national/update/0213/TKY201302130390.html
福島県は、事故当時18歳以下だった約18万人のうち、約3万8千人の甲状腺の超音波検査を行い、3人が甲状腺がんと診断され、7人に疑いがあると言う発表をした。
10人の平均年齢は15歳で、確定診断された3人は全員、進行がゆっくりで早期癌だった。
今回の調査対象は飯舘村や浪江町など避難区域などの子どもたちで、3人は手術でがんを摘出、通常の日常生活を送っている。
福島県立医大の鈴木真一教授は「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と説明した。
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甲状腺がんは進行が遅く生存率も高いと言われています。
しかし、子どもの甲状腺がんの発生頻度は100万人に1~2人程度と言われていましたので、明らかに高い発生率にたくさんの方が驚いたと思います。
金曜日に郡山で甲状腺の講演会がありました。
特別講演は、がん研有明病院の杉谷巌先生でした。
http://www.gsic.jp/cancer/cc_04/ysc01/index.html
講演の内容を箇条書きでまとめました。
甲状腺癌は4つの組織型に分類されます。
日本はヨード過剰なため、約85%が予後の良い乳頭癌となっています。
これはヨード不足の欧米とは明らかに違い、治療方針も異なっているそうです。
乳頭癌は、あらゆる悪性腫瘍の中で最も予後良好であり、発生率が高いので、解剖すると3-36%の方に見つかりますが、臨床的に問題となるものは1/1000と少ないと言われています。
リンパ節転移があっても予後にはほとんど関係しないそうです。
しかし、一部高危険度の癌もあり、高危険度癌と低危険度癌に分けられます。
高危険度癌10-20%
50歳未満で肺や骨への遠隔転移がある
50歳以上で3cm以上のリンパ節転移、甲状腺外への明らかな浸潤
→10年生存率は7割程度
低危険度癌80-90%
高危険度癌以外のことです。
→10年生存率で95%以上、20年生存率でも90%以上
高危険度の癌でも10年生存率7割というのは、他の癌に比べとても高いですね。
大きさが1cm以下の小さな癌を微小癌といいます。
超音波検査を用いて検診すると成人女性の3.5%に微小癌が発見されます。
超音波検査の機械の発達により、微小癌の発見は30年間で2倍発見されるようになりましたが、死亡率は変わっていないそうです。
それは、微小癌が進行しない癌である裏付けになります。
微小癌を6-12月毎の定期超音波検査で5年間経過観察した結果では、91%不変 増大7% 縮小2%だったそうです。
そのため、検診で見つかった癌を疑う5mm以下の腫瘍は現在は経過観察されているとのことです。
ちなみに、某保険会社では、吸引細胞診で見つかった微小癌については癌保険の支給をしていないと言っていました。
甲状腺癌には、一部未分化癌と言う悪性度の高い癌もあるそうです。
発生率2-3%で進行が早い癌です。
65歳以上の高齢者に多いと言われています。
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チェルノブイリでは、原発事故後子どもの甲状腺癌が増加したことが知られています。
福島で子育てをしている我々にとってはとても心配なことです。
僕もこれまで子どもの甲状腺癌については漠然とした不安を持っていました。
放射線の被曝については、心配ですが、今回の講演で相手の特徴を知る事が出来ました。
微小癌は、5年間経過観察91%不変だそうです。
極端に恐れずに冷静に見つめていきたいと思います。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。