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2011.09.15
診療
研究
仕事 / 職場

透析クリニックが被災して 19

皆さんもご存知かと思いますが、震災直後からガソリン不足が深刻化してガソリンスタンドの前はガソリンを求める人達で大渋滞となりました。

当院では、自施設以外の患者さんも引き受けて透析を行っていました。
原発が爆発した頃も周囲が電灯を消している中で夜中まで透析をしていました。
僕自身もクリニックに張り付いていましたが、スタッフも長時間かけてガソリンスタンドの列に並ぶ事は不可能でした。

そのため、通院できないスタッフがクリニックに泊まるようになりました。
この状況を行政に何度も電話で訴え続けましたが、全く行政は対応してくれませんでした。
当院は事務長もいませんから、院長が対外的な事も含めてやらなければなりません。
しかも、患者さんが透析をしている間に抜け出すことも出来ないのでお願いしに行くことも出来ません。

その後、各医療機関に一枚、ガソリンを入れられる緊急車両指定の通知が送られてきました。
当院でも、ガソリンが全くなく、泊まり込んでいたタッフの車を緊急車両に指定してガソリンを入れさせたことを覚えています。

その頃は、原発事故のために周囲の診療所の多くが休診していました。
なんで一律なんでしょうか。
少なくとも、週明けには電話もファックスも通じていましたので、診療を行っているかどうか返事を書かせるファックスくらい送っても良かったのではと思います。

そのような有事の際には、インフラに直結する医療機関を優先させるとか出来ないのでしょうか。
まずは病院。透析施設、往診や在宅を行っている医療機関、介護施設などです。

金曜日の夕方に、行政からガソリンはないので提供出来ないと最終的な電話がかかってきました。
ガッカリしたのですが、次の日の朝、いくつかのガソリンスタンドの前に長い行列が出来ており、実際には販売出来るガソリンが有ることも判り、非常に落胆したのを覚えています。

余談ですが、タクシーはガスで動くのでガソリン不足となっても関係有りません。
震災後有用な交通手段と言えます。

先日、とあるクリニックの先生とお話しましたが、スタッフにタクシー券を渡して通勤してもらっていたと聞きました。
なるほどととても勉強になりました。

それから、患者搬送についてもいろいろなばかげた決まりがあるようです。
原発事故後、三春の避難所から3名の透析者の方が3台の救急車に乗せられて透析を受けるために連れてこられました。
皆さん疲れてはいましたが自分で歩ける方ばかりです。

なんで救急車で来たかというと、患者は救急車で搬送する決まりになっているからです。
そんなばかげたことが震災直後の混乱期にはたくさんありました。

お役所と言うのは決められた事しかできません。
ですので、有事の経験を生かして事前に何か起こったときの対応を決める、もしくは有事の際に行政に医療者の代表が入り強いリーダーシップを取ることが重要となると思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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