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2011.08.11
診療
研究
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透析クリニックが被災して 8

透析百科第122板からの引用です。
地震が発生して震度3以下は透析を続ける、震度4以上では被災の程度を確認し、被災が軽い場合は返血終了するとされています。

4月11日に起こった5強の余震の時は私も2階にいましたので、揺れている間中ベットとコンソールを支えて耐えていました。
この時は電源の異常は無かったのですが、返血して終了としています。
長い揺れに耐えた後の回収でしたので、鉗子を持つ手が震えてしまい、回収業務を行うことは大変でした。

施設の被災が大きい場合は、可能であれば返血を行い、緊急を要する場合は止血ベルトによる離脱となっています。
当院でも、院長と一部スタッフの間ではそのような話し合いがされていました。

ここで、これまで行われている緊急離脱方法の利点と欠点を示します。

抜針法の利点は、毎回必ず行っている通常行っている操作で行えることです。
しかし、欠点として慌てて止血バンドで抑えると、止血ベルトがずれてしまう事があります。
また、止血バンド自体が用意されていなければこの方法はおこなえません。

次に、鉗子クランプ法の利点ですが、これは鉗子で回路をクランプして外すので、迅速に行う事が出来ると言うことです。
ただし、クランプが外れると大量出血する可能性があります。
尚、今回の話は離脱用回路を使用する余裕が無いことを前提にして書いています。

穿刺針ロック法の利点ですが、これもトイレ離脱時などに行う操作なので、通常行う操作に近い操作で可能です。
もちろん安全針を使っていての話です。
欠点としては、細かい作業となると言うことです。

4月11日の大きな余震後のあの手が震えていた状態でも、安全針のロックを移動して外すことが出来るかと聞かれれば無理だと答えます。ましてや、今回の本震では絶対無理だと思います。

鉗子をクランプして回路切断する方法は、最近では禁忌と言っている先生もいらっしゃいます。
ただ、この方法は鉗子クランプ法と同じくらい迅速に行えます。
そして、切断する部位を決めておけば操作は一番早いです。
欠点としては、鉗子クランプ法と同様にクランプが外れ大量出血の可能性が有ることです。

左上の鉗子クランプ法ですが、この状態でシーツにくるみ患者さんにシーツを抱えて逃げてもらいました。
最もやってはいけない方法ですが、事前にきちんと離脱法を徹底していなかったこともあり、この方法で離脱する方が多数となりました。
午後は比較的元気な患者さんばかりで、自分できちんと移動出来る方が多かったので、何とか大きな出血等は生じないで避難出来ました。

キャップ法は、鉗子クランプ後にキャップをする方法ですが、先ず手元にキャップが無いとどうにもなりません。
当院にも透析室脇の倉庫にキャップが置いてありましたが、倉庫の物品は床に散乱していましたので、震災後キャップを探すことは現実的でないです。

穿刺針ロック法はとても簡単で良いのですが、大きな揺れの後に出来ない可能性もあります。

右下が鉗子クランプして切断する方法ですが、鉗子をかけてその部分を患者さんに握ってもらい、その遠位で切断しています。
緊急時に、そんな操作ができないという話を聞きますが、これは生食回収してからいつでも訓練として行えます。
日頃より定期的に訓練できますし、とにかく早いです。
火災時など超緊急時には出来る様にしておいた方が良いのではないでしょうか。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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