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- 2011.08.04
- 診療
透析クリニックが被災して 4
3月11日金曜日に地震が発生しました。
当院では、今年初めより月水金の午後クールの透析を開始していましたので、当時は透析中の患者さん10名と午前の透析が終わって止血等を行っている5名の患者さんが2階透析室にいました。
対応したスタッフは8名です。
院長は1階で腹膜透析のチューブ交換をしていました。
いつもは簡単にできるチューブ交換がその日に限ってはうまく出来ませんでした。
実は、前回の交換を別な病院で入院中に行っており、当院で使っているものとは別なもので、その時の道具では交換が出来ないものと後日分かりました。
メーカーがその事をきちんと伝えてくれなかったのは問題ですが、交換中でチューブ消毒中に地震が起こっていたら大変だったのではと思います。
地震が発生し、直ちに2階に直行しようとしましたが、階段の揺れが激しくて、階段を駆け上がることは出来ませんでした。
これは、階段と壁の間に出来た隙間です。
とてもひどく長い揺れでした。
揺れが収まってきたので、2階に駆け上がって行きましたが、目も当てられない状況になっていました。
その時の状況については後でお見せします。
透析継続は全く出来ませんでしたし、強い揺れが再び生じる可能性もあり、透析途中の患者さんは全て緊急離脱を行いました。
ほとんどの方が歩行可能だったので、とりあえず1階外来待合室へ移動していただきました。
1人だけ車いすの方がいらっしゃったので、この方は抱えて降りたことを覚えています。
患者さん達には1階で待機して頂き、スタッフがロッカーの荷物を取りに行きました。
写真があるので、元気な患者さんも一緒に行ったのかもしれません。
ぱっと見ると誰かを救出している様に見えますが、そうではなく荷物を取り出しています。
これも、いくつかの倒れたロッカーを起こしてからの状態です。
日付が入った写真は患者さんが撮っていた写真です。
もちろん、スタッフにその余裕はありませんでした。
その後、何度も大きな余震が起こりました。
強い余震があると駐車場に避難しましたが、外は寒くて居られませんので、再び室内に戻る。そして、余震で外に出るの繰り返しでした。
受付脇の水槽の水が溢れて水浸しになっていましたが、倒れることはありませんでした。
その間に抜針止血を行いました。
職員がいつの間にかバケツを用意して、抜いた針やガーゼを入れてくれました。何の指示も出しませんでしたが、せっせせっせと必要なことをやってくれていました。
あれだけの惨事で誰もけが人がいなかったのはとても幸運だったと思います。
患者さんの人数を確認した後に解散としました。
送迎の方は送迎車で送っていきました。
1人の方がタクシーの送迎を受けていましたが、とてもタクシーが来てくれる状況でなかったので、院長が運転して職員1名とともに自宅に送ってきました。
ちょうど、その時に外来の患者さんがやって来て、今日は午後休診かと怒られたなんてこともありました。(笑)
送迎途中も大きな揺れが何度も起こりました。
道路は問題なく、信号機も通常通り動いていましたが、周囲の建物の被害は大きかったです。
患者さんを送ってから、一度自宅に戻り家族が無事であることを確認しました。早い段階で家族の無事が確認出来てありがたかったです。
私はマンションに住んでいますが、マンション住民の多くの方が駐車場の車の中に避難していました。
その日は余震が繰り返して起こりましたので、近くの体育館に泊まった方が多かったようです。
我が家はクリニックに泊まることとして、クリニックへ移動しました。
途中、コンビニで必要な食べ物を購入し戻りました。
ガソリンまでは気づきませんでしたが、スタッフの中には震災直後にガソリンを入れに行ったスタッフもいて、その先見の明にビックリしました。
クリニックに戻り、院内の設備の点検を行いました。
その時点で、電気はつきました。給湯は使えず、水道は出ました。
正確に言うと、貯水タンクから蛇口までの水道は通っていることが分かったということです。
水道管からタンクに水が流れているかは分からない状況でした。
透析室の被害が大きかったので、今後透析が継続可能か見通しがつかず、いくつかの施設に透析の受け入れが可能か電話を入れました。
どの施設も大変だったようです。
その後、翌日透析予定の患者さん1人1人に電話をかけて、土曜日は透析出来ない事を伝えました。
電話はかかりづらく、しかも通じない方がたくさんいて、この作業は夜までかかりました。
震災時には、明日の透析が出来るかどうかの確認を患者さんから電話してもらう様にしておくべきでした。
午後8時に解散しましたが、その後も夜中まで電話がかかってきた震災当日でした。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。