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2011.05.14
診療
開業 / 病院経営
生活 / くらし

被災地の仮設診療所について

みんなの党の柿沢未途衆議院議員が厚生労働委員会で、被災地の仮設診療所について質問をしてくれました。

ツイッターで内容が書かれていましたので、転記します。

1日ぶりに書く。しかも一昨日の厚労委の質問の続き。被災地の仮設診療所について。厚労省は被災3県の仮設住宅群に仮設の診療所を設置するとともに、医師や看護師を1000人規模で応援で送り込むと。もともと医療過疎地の東北3県にとって朗報のようにも思えるが、果たして本当にそうか。

本来やるべきは外から来てもらった医師や看護師に仮設住宅の診療を支えてもらう事ではない。現地における既存の医療機関をどうバックアップしていくかだ。それなくして既存の医療のサプライチェーンの外側に仮設診療所を立ち上げると、既存の医療機関は患者を取られてさらに疲弊してしまう。

しかも、仮設診療所も派遣医師も看護師もずっとそこにいる訳ではない。いつかは去る事になる。その時に残されるのは前よりさらに弱った地元の医療機関だけになりかねない。災害に強い地域を作るというなら、いざ災害の起きた時にそこにいる地元の医療機関を強くしなければならない。

同じ外から支援を受けるなら、地元の被災自治体に非常勤として雇ってもらって、必要な地元の医療機関に送り込むとか、そのような形にすべき。さらに言えば、人為的に送り込まなくても、被災地の診療報酬を特例的に2倍に上げれば、地元医療機関は医師を増やすし、医療法人も放っておいてもやってくる。

岡本政務官「被災地に医師を大量投入して現地の医療体制を崩壊させてしまうつもりはない。災害時に急激に高まった医療ニーズに対し、当初はDMAT、中長期では補正の70億円で仮設診療所。一方で南相馬市立総合病院のような地域の医療機関の立て直しを図っていく。診療報酬は補正の効果を見てから」

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柿沢未途衆議院議員の質問は、宮城・岩手については判りませんが福島県についてはもっともなことです。

当院の周辺には、いくつかの診療科が集まって開業していますが、見てみると明らかに昨年よりも患者さんの停める車の台数は減っています。
福島県は原発の問題が大きいので、特に不妊治療を行う産婦人科や小児科の患者さんが減っているようです。

これだけ患者さんが減っているのに、競合の医療機関が出来ればさらに診療所は苦しくなっていくと思います。

医師が減って困っているのは病院です。
放射能を心配した研修医が福島に来ることを取りやめたり、福島で働いていた医師が他府県に行ってしまっています。

そのために、入院患者さんを診る医師がオーバーワークになって、医師の疲弊が強くなっています。
ですので、仮設住宅に診療所を建てるのではなく、医師が減った病院に他府県から医師を呼んで欲しいのです。

今、福島福島県民が困っているのは、入院が出来ないことです。
現在、病院に対し国は、患者さん7人に対し1名の看護師を置かないと診療報酬(入院した方の1日の治療費)を下げるシステムを作っています。
そのために、多くの総合病院が病床数を減らして、基準をクリアする様にしています。

しかし、医師と同様に看護師もたくさんいる訳ではありません。
ですので、対策としては被災地を特区とすることで基準を緩和して、患者さんが入院しやすくするシステムを作って欲しいのです。

これまでに聞いている話では、南相馬でも、徐々に外来は再開されてきています。
しかし、原発から32kmの地点にある鹿島厚生病院が、県の指導でみなし30kmとして最近まで入院制限をされていました。

その後、解除されましたが、現時点でも南相馬市立病院に入院はできません。
そのため相馬の病院は常に満床で、救急車は引き取ってくれる病院を求め、福島や仙台まで行っています。

原発事故によって生じている南相馬の悲劇を、行政の力でなんとか早く改善させて欲しいです。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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