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透析の考え方
現在、血液透析は「一回4時間×週三回、血流量200 ml/分」という透析が標準となっています。
この平均的な透析が、腎機能をどれだけ補っているでしょうか。
それは尿素の様に小さく抜けやすい毒素について、本来の腎機能の10%強程度と考えられます。しかし、尿素より大きな尿毒素を除去出来る能力はもっともっと低くなります。
そして、この平均的な透析を続けた治療成績は、5年生存率が60%程度、10年生存率が40%程度です。
患者さんの平均年齢が65歳とすれば、患者さんの4割の方は70歳にならずに亡くなられるという状況ですので十分な治療成績とはいえません。
5年生存率60%では、癌の治療成績に負けてしまいます。
さらに、長期予後が期待出来る若い方が、「二十年、三十年透析で元気に生きる」と言う事を考えれば、長期間貧弱な透析を続けた後で、「最初からもっと抜いておけばよかった。」と患者さんが思っても、体に蓄積した尿毒素はもう抜けませんし、傷んだ体は元に戻りません。
実際のデータをお見せします。
4時間透析に比べ、3時間透析はリスクが1.8倍、5時間透析で0.6倍です。
これは、1年間のリスクですので長期になれば相当なものです。
実際に、日本の平均と週3回6時間透析を行っている施設の差を示します。
日本の平均5年生存率と週3回6時間透析の10年生存率が変わらないのが分かるかと思います。
血流量も欧米に比べると日本では低くもっと上げてもいいのではと考えています。
米国では透析患者さんの予後が悪いと言うご意見も有りますが、それは3時間透析が主流だったり、ダイアライザーの使い回しをしていたり、透析をスキップする事が有ったりするからだと言われています。
もちろん、血流量や透析時間を掛け合わせた標準化透析量は少なくなればなるほど予後が良くなっています。
この様な考え方から、援腎会すずきクリニックでは、透析導入初期の段階よりしっかり透析を行って行くことが大切と考えて実践しています。
尿素より大きな毒素を抜く目的で、オンラインHDFやⅤ型ダイアライザーを用いて血流を300ml/min以上に上げ、時間を4.5〜5時間以上に延長しています。
さらには、週4回の頻回透析も希望する方に行っています。
実際に、このブログでもしっかり透析についての学会発表した内容をこれまで載せてきましたが、歴然とした治療成績の差が有ることが分かると思います。
ホームページの学会発表にも当院の治療成績が載ってますので、ご興味がある方はご覧になって下さい。
https://enjinkai.com/society/index.html
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。