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LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない。
一昨日、デュタステリド(商品名アボルブ)の講演会がありました。
前立腺肥大症治療薬として発売1周年を迎えた薬です。
日本大学教授の高橋悟教授の講演でした。
当院でも、この1年で多くの方にこの薬を処方させていただきました。
そして、多くの方から良く効く薬だと評価されました。
これまでこの薬については前立腺自体を小さくする薬という認識しかありませんでした。
しかし、今回の講演を聞いて、この薬が実はとてもすごい薬かもしれないと感じさせられました。
それでは、この薬がどの様にして効果を発揮するのかから書いてみます。
精巣から代表的な男性ホルモンであるテストステロンが分泌されます。
活発なテストステロンである遊離テストステロンが5α還元酵素という酵素と結びついて、さらに活性の高いジヒドロテストステロン ( DHT ) に変化します。
DHTには、
薄毛
体毛の増加
精力減退
前立腺肥大
などの作用があります。
デュタステリドは5a還元酵素を阻害する薬で、DHTを抑制して肥大した前立腺が縮小させ、排尿状態を改善させます。
これまでの研究で、1年間投与することで、前立腺の容積が33.8%減少したと報告されています。
テストステロンが5α還元酵素によってDHTとなり肥大症を起こす
アボルブは1型2型の5α還元酵素両方をブロックしてDHTを作らせない
実は、2型の5α還元酵素をブロックする薬が男性脱毛症の薬であるフィナステリド(商品名プロペシア)です。
もちろん、デュタステリドにも育毛の作用が有ります。
それでは、タイトルとした『LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない』と言う話に移ります。
デュタステリドはテストステロンがDHTになるのを防ぐ薬です。
つまり、テストステロンが変化するのを防ぐ薬です。
研究の結果、デュタステリドを投与した後の血液中のテストステロンの値は18.8%上昇したそうです。
つまり、テストステロンが低下するLOH症候群に有効な薬である可能性があるという事です。
この薬は前立腺を小さくさせて効果を発揮する薬として知られており、前立腺を小さくするには半年かかると言われています。
しかし、この薬を投薬して間もない方からすごく良く効いたと言われる事が有ります。
もしかしたら、前立腺肥大症にLOH症候群を合併している方が内服すると、テストステロンの数値が上昇して飲んでから早期に症状が良くなった可能性があるというのです。
LOH症候群の治療薬は、これまでテストステロンの注射や塗り薬しかありませんでした。
しかし、デュタステリドがテストステロン値を上昇させるならば、LOH症候群を治療する内服薬として使えるかもしれないという事になります。
今後はさらに多くの方がこの薬を内服していくと思います。
その経過を見ていくことで、前立腺を縮小させる以外の効果がはっきりしてくるのだと思います。
今回は、デュタステリドの魅力がとてもよく分かった講演会でした。
今後の診療に役立てていきたいと考えております。
図はGSK社ホームページより引用
http://avolvebph.jp/info/page02/index.html
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。