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2010.12.23
診療
仕事 / 職場

第83回福島腎不全研究会 5

この方は、透析導入してそれほど時間が経過していない方ですが、転院時より穿刺が難しく、一度造影してみようと言うことでシャント造影を行ったのですが、案の定、吻合部付近に狭窄を認めました。

手術時に静脈を動脈につなぎ合わせるときに、どうしても静脈がねじれてしまい狭窄を起こす事が多いようです。

PTAを行いましたが、狭窄は容易に拡張されました。
このときは気づかなかったのですが、後日写真をよく見ると、黄色い矢印の部分から中枢がうまく写っていないのです。

そして、半年後の9月に、シャントの熱感と痛みが出てきて、シャント静脈炎と診断しました。
原因検索の為にすぐにシャントエコーを行ったところ、先ほどの黄色い矢印の部分で狭窄が有りました。

PTAを予定しましたが、ガイドワイヤーが狭窄部を通過せず、PTAを断念しました。
その後、この部分の人工血管置換術を行ってもらいました。

4月の写真をよく見ると狭窄が疑われます。
この辺が、当院のレントゲン装置の限界かもしれませんが、病院に有るようなDSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ)は予算の関係から導入することが出来ず、患者さんには申し訳ないと考えています。

4人目の方です。
前医でタバコ窩でシャントを作製してもらいました。
脱血不良があり、バルーンで拡張しました。
狭窄は容易に解除されたのですが、術後も150ml/minまでしか血流が取れず、シャント再増設となりました。

このようにPTAを行って拡張が解除されても、元々のシャントが十分に作られていないとこのような結果になります。

5例目は学会で発表しなかった方です。
結果的には、PTAがうまくいった方ですので、特に発表には入れませんでしたが、今回は提示します。
この方もタバコ窩です。
高度狭窄が2カ所有りました。
手首より手前は簡単にバルーン拡張できました。

タバコ窩吻合部直近は、ガイドワイヤーは通るのですが、バルーンカテーテルが通過しません。
無理矢理バルーンカテーテルを押しつけながら広げ、なんとか十分な血流が確保出来るまでとなった方です。

考察のスライドです。

PTAを行うことで、93.5%で術後十分な透析が可能でした。
閉塞例もマッサージとPTAを併用することで、5例中4例で手術が回避出来ました。
次回のPTAまでの期間は、平均5.9ヶ月であり、症例提示で示した方も含め、PTA後は定期的な再狭窄のチェックが必要です。
今回、4例目、5例目はタバコ窩シャントの方ですが、僕の考えとしては、シャントは十分な血流が取れる部位で行うべきであり、PTAが行える現在では、タバコ窩での手術は避けるべきだと思います。

最後のスライドです。
当院では、前述しましたがDSAなどの高額な装置はなく、通常の泌尿器科診療で行う造影検査で使用しているのと同じ造影装置でPTAを行っています。
先ほど示しました方の様に、DSAだったり、もう少し僕に画像を読む力が有ったなら、事前に狭窄が分かったと思われる方もいらっしゃいます。
このことは残念で患者さんには申し訳ないのですが、多くの方のメンテナンスは出来ていると考えています。

こんな貧弱な設備でも、たくさんの方の造影やPTAをすることが出来ます。
シャントは透析をするためにとても大切なもので、マメなメンテナンスが必要です。
設備が十分な施設がなくても、このように造影と治療が出来る事を最後に書いて今回の発表を終わりとします。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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