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透析者の虚血性心疾患3
透析者の虚血性心疾患のお話に戻ります。
糖尿病を持つ患者さんでは、冠動脈に病変がある方が多く、透析導入時にすでに58%の患者で冠動脈病変が認められるそうです。しかも、その冠動脈病変は、重症の2枝3枝病変が35%もあるとのことです。
糖尿病を持たない方でも39%の患者が冠動脈病変があるそうですが、2枝3枝病変は13%と比較的少ないようです。
透析導入時にこれだけ冠動脈病変が多くて、しかも除水過多によって透析後半に血圧が下がると透析中の無痛性心筋梗塞が多いというのは分かるような気がします。
スクリーニングとしては、心電図や心エコーなどになるのでしょうが、心エコーを常に行える施設は限られてしまいます。
透析中の血圧低下が時々見られる透析者の方では、機会が有ったときに総合病院や循環器内科で心エコーをしてもらうことをお勧めします。
心電図や心エコーで異常が有った場合には、
1.冠血管造影coronary angiography(CAG)
2.マルチスライスCTでのCT coronary angiography (CTCA)
3.薬剤負荷心筋血流シンチグラフィ
が有ります。
冠血管造影は、動脈にカテーテルを挿入し行う検査ですので、侵襲の有る検査と言えます。
そのため、最近では造影CTで冠動脈造影ができるCTCAを行う機会が増えてきている様です。
しかし、透析者の場合、全身の石灰化が進んでいることが多く、冠動脈が石灰化している場合には、病変が特定できないことが有るようです。
最近では、侵襲が少なく感度も一般人と比べ劣らない薬剤負荷心筋血流シンチグラフィが有用だと言われています。
ただし、シンチグラフィーは高額な検査ですので、透析導入する患者さん全てに行うことはできず、必要な方のみに行う検査であり、できる施設も限られています。
現状では、循環器専門医が必要と考えた場合に行うべき検査であると考えています。
以上、透析者の虚血性心疾患について書いてみました。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。