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限局性前立腺がんの低侵襲治療1
昨日、福島市で限局性前立腺がんの低侵襲治療についての講演会が有りました。
演題は、
1、HIFU(ハイフ)療法
2,トモセラピー
3,陽子線治療
でした。
どれも非侵襲的な早期の前立腺がんに対する治療です。
放射線治療としては、他に小線源療法という治療法があります。
今回は、これらの治療法について書いてみます。
まずは、HIFU(ハイフ)療法からです。
高密度焦点式超音波(HIFU:ハイフ)療法とは、肛門から入れた機械から強力超音波が前立腺に向けて照射されて、そのエネルギーで癌を凝固壊死させる装置です。
A:HIFU本体
B:超音波発生プローブ
C:プローブ先端
D:超音波が照射される範囲(イメージ)
公立藤田総合病院ホームページから
当初は前立腺肥大症の治療法として研究されたのですが、あまり成績が良くなく、10年前より前立腺がんに対して行うようになり、低侵襲な治療法として注目されてきています。
焦点領域の温度は80~100℃に上昇するのですが、周囲の臓器にほとんど影響を与えなく、抗凝固剤(血液サラサラの薬)を一時的に中止しなくても治療できるのが特徴です。
麻酔は腰椎麻酔で行うことができるそうですが、抗凝固剤を飲んでいる方では、全身麻酔で行うことになります。
HIFU療法の治療成績では、前立腺内に限局する悪性度の高くない癌の場合の非再発率は80-90%くらいあり、早期がんでは開腹手術に匹敵する治療法と言われています。
しかし、病気が進行した高リスク癌の成績は極端に低くなり、有効性は低いようです。
また、一度だけしかできない開腹手術や放射線治療と異なり、患者さんによっては残存がんに対し複数回の治療が可能です。
さらに、開腹手術や放射線治療後の局所再発に対しHIFU療法を施行することも可能です。
合併症としては、最も多いのが尿道狭窄で、約15%と言われており、術後は一定期間尿道カテーテルを留置しておく必要が有ります。そして、もっとも重篤な合併症は膀胱直腸ろうですが、ほとんどが初期の装置で起こっているようです。
尿失禁は、術後一時的なもので、勃起障害も3割くらいと、前立腺全摘術に比べ非常に低率です。
この治療法は、開腹手術に比べ明らかに術後合併症が少ないため、基礎疾患があり開腹手術に耐えられない方や、75歳以上の高齢者にも可能です。
この様に、HIFU療法は、早期癌の患者さんであれば、特に年齢制限は無く、手術の合併症である勃起障害や尿失禁も少ない治療法であり、入院期間も短い治療法です。
福島県内では、公立藤田総合病院で昨年1月より行っており、当院でも希望された方をご紹介しています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。