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2009.12.23
診療
開業 / 病院経営
研究

『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』

12月19日に第81回福島腎不全研究会で演題を2題発表したことを書きましたが、その発表をブログでも公開します。

演題名は、
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』
です。

昨年の透析学会雑誌に、

血液透析の修正可能な治療指標に起因する日本の透析患者の推定生存年数-DOPPSより-

と言う論文が出されました。

大変御高名な先生方が連名で書かれた論文です。

その中の抜粋ですが、

血液透析療法のうち修正可能な6つの治療分野(指標)において,推奨レベル(目標値)を達成していない患者割合を算定するために,DOPPSから得られた日本人血液透析患者の代表サンプルを用いた.
日本人の血液透析患者の内,ごく少数の患者では5つないし6つの指標で目標値を達成していたが,殆どの患者(78.1%)で達成した指標は2つないし4つであり,20.5%の患者では1つ以下と,かなりの割合の患者が治療指標の推奨レベル(目標値)を達成していなかった.

とありました。

施設でのカテーテル使用の有無というのは、その透析施設でシャントや人工血管ではなく、留置カテーテルを使用して透析をしている方の割合が10%以上かどうかということです。
カテーテル留置をして透析を行っている方は、当院の様な外来透析を行っている施設よりは、入院できる施設で透析を行っている場合が多いので、この部分は当院に有利だと思います。

論文によると、各治療指数の目標値を達成していない患者割合は、DOPPSⅡに参加した時点の透析患者数1805名を元に計算され、その割合は施設の大きさに対する不釣り合いなサンプリングを無くすために、施設当たりの患者数で補正されたとあります。

つまり、日本で透析を受けている方の全てのデータではなく、代表的なデータだと言うことは付け加えておきます。

達成された治療指標項目数の割合は、かなり低く、
6個は0%、5以上で1.7% 、2−4個で78.1%、1個以下が20.5%と記載されていました。

この結果を見てしまうと、これらの目標を全て達成することは至難の業という感じですね。
そこで、高透析量のオンラインHDFを行うことでこれらの指標がどのくらい達成できるかについて、当院の治療成績を発表しました。

一つだけ付け加えておかなければならないことがあります。
僕が今回発表したことと、この論文の主旨は全く違うということです。

この論文では、透析者の生命予後を改善する目標値を検討することであり、血清アルブミン4.0g/dL以上の患者の割合を増やすことヘモグロビン値11g/dL以上の患者の割合を増やすことが、生存年数の延長に最も良い効果をもたらすと述べています。

そして、透析者の生命予後を改善するために、現在の貧血ガイドラインにあるヘモグロビン目標値≥10g/dLを11g/dLに変更するべきであると言う事を結論としています。

本来の主旨とは異なる部分を使用してしまって申し訳ないのですが、ただ、このようなデータは、本来は毎年学会から出される『我が国の慢性透析療法の現状』で公表すべき内容であるべきだと思っています。

全国の施設からデータを収集して『我が国の慢性透析療法の現状』を出していて、いろいろな統計解析を行っているにもかかわらず、このような目標値とそれに対する生存率の発表がされていない現状はおかしいと考えております。

2001年のデータは発表されているのです。
でも、それ以降出されていません。
前回の保険点数の改正時に時間区分を復活させる為に、時間についての生命予後は出てきたのですが、今回の目標値と生命予後については少なくとも毎年公表されるべきだと考えております。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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