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ちょっと目からウロコ
昨日、慢性腎臓病の本を読んでいたのですが、目からウロコとも言える記述があり、ちょっと感動しましたので、その内容について触れたいと思います。
最近、慢性腎臓病という概念が盛んに言われるようになりました。
腎臓が悪くなると腎不全になり透析が必要となることは以前から知られていましたが、実は腎不全までは至らなくても、脳・心血管病(CCVD)を起こす可能性が一般の人よりかなり高いのです。
そのため、慢性腎臓病であることが脳・心血管病のリスクであることが分かり注目される様になったのです。
その本には、なぜ慢性腎臓病の人が脳・心血管病を起こしやすいかについて書かれていました。
実は、その原因は進化の過程に有るというのです。
生物が海から陸に移り住むようになったとき、これまで十分にあった水と塩分が常に不足しがちとなりました。
水や塩分が不足することで循環不全や低血圧をおこし、重要な臓器に血流が行かなくなる事が最も心配されます。
そのため、重要な臓器に対しては、太い動脈から直接重要な部分に細い動脈を出す身体の仕組みを生物は作り上げたのです。
腎臓では太い弓状動脈から直接細い輸入細動脈が出て糸球体に血液を運びます。
脳では、中大脳動脈から穿通枝という細い動脈が出て大脳に血液を運びます。
心臓では、胸部大動脈から心臓に血流を送る冠動脈が出て心臓を養っています。
眼動脈は内頚動脈という太い動脈から直接出ています。
一般的には、動脈は徐々に細くなっていくのですが、大切な臓器には循環不全や低血圧でも血流が届く様にするための構造です。
こうしておけば、徐々に細くなった先にある臓器より血液が行きやすいのです。
でも、この構造が仇となったのです。
現代では、低血圧と反対の高血圧が起こっています。
糖尿病や脂質代謝異常が起こっています。
高血圧はこの様な太い動脈から分岐する細い動脈に強く障害を起こします。太い血管は高い血圧に耐えられますが、そこから分岐する細い血管はもろに高い圧力を受け続けてどんどんダメージが強まっていくのです。
慢性腎臓病が起こっているということは、太い血管から直に細い血管が分岐している部分に障害が出ている事を意味しますので、同様の構造の脳・心血管に病変が生じている可能性を示唆することになるというのです。
面白いですね。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。