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2008.03.30
診療

2,検診で血尿があると言われた。

今回は、検診や人間ドックでオシッコに血が混ざっていると言われた場合の診療についてお知らせします。

肉眼的にオシッコが赤くなくても、顕微鏡で尿を観察し、血液の成分である赤血球が正常よりも多く出ている場合を顕微鏡的血尿と言います。
正常は、顕微鏡の強拡大(400倍)で、1視野に4個以下です。
検診の場合は、顕微鏡等で検査せず、簡易的に尿の潜血反応を調べることが多いです。
当院は、泌尿器科を専門とするクリニックですので、来られた患者さんで検尿が必要な方は、可能な限り顕微鏡で検鏡するつもりです。

ただ、尿潜血はで3+となのに、顕微鏡であまり出ていない場合もあります。そう言う場合は腎臓で出血して、排尿するまでに赤血球が壊されている場合もありますので、一般的に潜血反応と顕微鏡検査はセットで行います。

それから、タンパクが出ている場合や、円柱という物質が出ている場合などは、腎臓病の可能性も考えます。

だんだん、書いていくにつれて、あれもこれもと欲張ってしまいますね。
それでは、本題に戻りますが、当院の診療方針として、一番わかりやすい、尿中の赤血球数で説明します。
これは、尿タンパクが出たり、オシッコが汚れていて、白血球が出たりなどの場合を除いて、純粋に血が混ざっているだけの場合ですが、検診で血尿を指摘されたほとんどの人が当てはまります。

当院で、検診血尿で行う検査は次の5つです。(追加検査は除く)
これは僕の今まで行っていた診療方針であり、先生によって違ってくると言うことを初めに言っておきます。

患者さんの負担の少ない順に

1,尿細胞診
オシッコにがん細胞が混ざっているかを見る検査。
これはオシッコを出すだけなので、痛みは全くありません。

この検査では、悪性度の高いがんは高率に見つけられますが、悪性度の低いがんは見落とす可能性があります。
初期の膀胱がんで、悪性度が高いものは上皮内がんと言って、粘膜が赤くなるだけで、超音波では発見できなく、尿細胞診で見つかることが多いです。

2,超音波検査
腎臓、膀胱、男性では前立腺を超音波(エコー)で調べます。
腎臓結石、腎臓がん、水腎症、膀胱がん、前立腺肥大症などがわかります。
尿細胞診でわからなかった悪性度の低い膀胱がんは膀胱超音波でわかる場合が多いです。

装置を身体に当てるだけですので、痛みは有りません。
おしりから入れる場合で痔のある方は痛みが出る場合が有りますので、相談ください。

また、当院では、前立腺専用の経直腸カラードップラー超音波検査装置を導入しています。おしりから、超音波プローベを挿入することで、お腹からでは観察が難しい前立腺が詳細に調べられます。カラードップラーによって前立腺に向かう血流が観察され、前立腺がんの診断の精度が高まります。

3,採血
尿にタンパクが混ざっていたりして腎臓病が疑われる場合や、高齢男性で前立腺がんを疑っている場合に行います。
また、次の腎盂造影前に腎臓の機能を確認するためにも採血します。
針を刺されるので、その分の痛みが有ります。

4,腎盂造影
造影剤という薬を点滴して、何回かお腹のレントゲン線撮影を行う検査です。造影剤が腎臓から尿管を通って膀胱に流れる状況を調べます。
腎臓結石、水腎症、腎盂がん、尿管がん、尿管結石症、尿管狭窄、膀胱腫瘍などがわかります。

針を刺して点滴するだけの検査ですが、造影剤にアレルギーが有る方が時々いますので、十分に問診を取ってから行わなければなりません。また、腎臓の機能が悪い方は造影剤でさらに悪化しますので、事前に腎機能を採血で調べる必要が有ります。
写真がきれいに写るように事前に下剤を飲んで、絶食で行いますので、予約検査になります。

5,膀胱カメラ
尿道に麻酔をした後に、内視鏡を使って膀胱内を見る検査です。膀胱がん、膀胱結石など膀胱の病気がはっきりわかります。
その他、血尿で来院された方で、血尿がどこから出ているかを調べるためにも有用です。
ただ、昨日も書きましたが、痛みがかなりある検査です。
当院は痛みの少ない軟性膀胱鏡を使用いたします。

以上が行っている検査になります。
そして、診察の時の尿検査の結果によって、行う検査を決めています。

潜血のみで赤血球が正常の時は、患者さんと相談ですが、
腎、膀胱(男性では前立腺も)の超音波検査を行います。

赤血球が1視野に5から9個では、
尿細胞診、超音波、高齢男性でPSAの採血

赤血球が1視野に10以上では、
尿細胞診、超音波、腎盂造影、高齢男性でPSAの採血

赤血球が1視野に多数(100以上)では、
尿細胞診、超音波、腎盂造影、膀胱カメラ、高齢男性でPSAの採血

となります。
血尿で来院された方には、これらの説明を書いた紙を診察前にお渡しして、検尿の結果が出るまでの待ち時間に読んでいただき、診察中にわからないことについて説明したいと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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