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2020.03.03
一般

武漢での透析患者さんはどうなったのか?

武漢大学人民病院の血液透析センターから今回の新型コロナウイルス発生後の状況について報告した論文を入手しました。

まだ査読を受けていないペーパーとして雑誌に掲載される前の論文であると言う事をご了承ください。

 

 

武漢大学人民病院の血液透析センターで透析を受けていた230例の慢性維持血液透析患者の内、37例(16.09%)がCOVID-19に感染ました。
そのうち6名(2.6%)の方が亡くなられたそうです。

ただ、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなられた患者さんはいなく、重症肺炎のためにICUに入院したケースも無かったと報告されています。

死亡の主な原因は心血管および脳血管合併症または高カリウム血症です。

これは、感染の恐れによる透析回数と透析時間の短縮による透析不足が主な原因だったと論文にかかれています。

更に、採血にてCOVID-19に感染した透析患者さんは、他のCOVID-19に感染した患者さん達よりも炎症性サイトカインの血清レベルが著しく低かった事が書かれています。

 

COVID-19による肺炎が重症化すると、血中サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-αなど)の異常上昇が起こり,その作用が全身に及んで播種性血管内凝固症候群(DIC)・多臓器不全まで進んでしまうサイトカインストーム(サイトカイン放出症候群)が起こって命が奪われる事が知られています。

透析患者は免疫能が弱いのでサイトカインレベルが他の患者さん達より低く、重症化しなかったのでは無いかと考察されています。

 

また、透析患者さんがCOVID-19に感染すると、他の集団とは明確に異なるクラスターとなると書かれていました。

透析を受けている方は、定期的に住居や病院の間を移動しなければならず、また大きな空間で集中的に透析治療を受けるなど、感染すると、潜在的なモバイル感染源になると言う事も書かれていました。

このことは我々透析従事者に取っては悩ましい事でもあります。

ただ、透析室スタッフの33名中4名(12.12%)が罹患し隔離治療となったが亡くなった方はいなかったと言うのはホッと出来る事でもあります。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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